取り組みの概要

リコーグループは、目指すべき持続可能な社会の姿を経済(Prosperity)、社会(People)、地球環境(Planet)の3つのPのバランスが保たれている社会「Three Ps Balance」として表しています。この目指すべき社会の実現に向けて、「事業を通じた社会課題解決」「経営基盤の強化」「社会貢献」の3つの活動に取り組み、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に貢献しています。
2020年には「事業を通じた社会課題解決」と「経営基盤の強化」の2つの視点から、7つのマテリアリティを特定しました。「事業を通じた社会課題解決」の視点では4つのマテリアリティ(“はたらく”の変革、脱炭素社会の実現、循環型社会の実現、地域・社会の発展)を特定し、持続的な成長に向けた事業活動を通じて社会課題解決に貢献していきます。「経営基盤の強化」の視点では、3つのマテリアリティ(責任あるビジネスプロセスの構築、オープンイノベーションの強化、多様な人材の活躍)を特定し、経営体質の強化に取り組んでいます。また、マテリアリティに関連する16のESG目標を設定し、各ビジネスユニットに落とし込み具体的な活動を展開しています。

気候変動対策の短中長期の目標

リコーは、国際社会における気候変動対応の加速が急務となるなか、2024年にリコーグループ環境目標を改定しました。新たに2040年目標を設定し、スコープ1,2の温室効果ガス(GHG)実質排出ゼロの達成、事業活動における使用電力の100%再生可能エネルギーへの移行(RE100達成)を従来の2050年から10年前倒しました。排出量を自助努力で基準年比90%削減し、残余排出量については、国際的に認められる方法でオフセットすることで実質ゼロを達成します。スコープ3についても対象範囲を従来のカテゴリー1(調達)、4(輸送)、11(使用)から、全カテゴリーに拡大し、基準年比削減率65%を新たに設定し、対応を強化します。また、従来から設定している2050年のスコープ1,2,3ネットゼロ目標についても、排出量を自助努力で基準年比90%削減する数値目標を追加設定しました。

リコーグループ環境目標(脱炭素分野)
≪2030年目標≫
GHGスコープ1,2: 63%削減 2015年比
GHGスコープ3: 40%削減 2015年比(調達、使用、物流カテゴリー)
≪2040年目標≫
GHGスコープ1,2: GHG実質排出ゼロ(2015年比90%削減、残余排出は国際的に認められる方法でオフセット)
GHGスコープ3: 65%削減 2015年比(全カテゴリー)
≪2050年目標≫
GHGスコープ1,2,3: GHG排出ネットゼロ(2015年比90%削減、残余排出は国際的に認められる方法でオフセット)

リコーグループ再エネ活用目標:
使用電力を2040年までに100%、2030年までに50%、再生可能エネルギーで賄う。

リコーグループの環境目標

再生可能エネルギー利用の推進

リコーは、「RE100」(自然エネルギー100%にコミットする企業の国際イニシアティブ)に2017年に日本企業として初めて加盟、再生可能エネルギーを積極的に導入活用しています。
使用電力を2040年までに100%、2030年までに少なくとも50%、RE100新基準に適合した再生可能エネルギーで賄うという全社目標のもと、追加性のある再エネ導入を加速します。2019年には、A3複合機の組み立て生産に使用する全ての電力(37GWh相当)を100%再エネ化しました。そのうえで2030年までに海外における主要拠点はすべて再エネ100%にすべく検討を進めており、また日本においてはできるだけ追加性や地域貢献を伴った質の良い再エネを調達していこうということで再エネ電力に関する総合評価制度を導入しております。この総合評価制度を使って、リコーの本社オフィスの電力は2021年度よりすべてトレーサビリティの取れた追加性・地域貢献のある再エネ電力に切り替えました。

エネルギー効率の向上

事業活動全体のCO2排出量抑制に向け、これまでに複写機のトナーやサーマルペーパー製品の生産性向上、モールド(樹脂成形加工)部品の成形加工時間を大幅に短縮する「超ハイサイクル成形技術」、及び「ドライ洗浄技術」による洗浄装置など、革新的な生産プロセス技術を開発してきました。
また、複写機やサプライ製品の生産ラインのコンパクト化は、使用する機器そのものの省エネに加え、その波及効果として、付帯設備である空調やエアコンプレッサーなどの機器の省エネが図れることから、リコーグループ全体で優先的に取り組んでいます。
また、一部のオフィスではエネルギーマネジメントシステムを導入し効率的な電力使用を進めるとともに、役員が使用する自動車をEVなどの電動車に切り替えることに取り組んでいます。

スコープ3を対象とした取り組み

リコーでは、スコープ3の削減シナリオを策定しGHG排出削減の強化に取り組んでいます。
スコープ3の中では、特に、カテゴリ1(調達)、4(輸送)、11(製品の使用)の排出量が全体の3分の2以上を占めており、重要な削減対象として2030年度目標達成に向け重点的に削減を進めています。また、2050年に向けては、全てのカテゴリーに対する環境目標を設定しています。
リコー、スコープ3の削減シナリオを策定しGHG排出削減を強化

気候変動に関する情報開示の推進

リコーは、脱炭素活動や活動の結果をもとにCDP(国際的な環境調査・情報開示を行う非営利団体)の質問票に回答しています。
CDPからは、2023年の「気候変動Aリスト」企業として認定されています。
2018年に国際的な気候変動関連情報開示の枠組みであるTCFDへの賛同を表明し、2019年度より気候変動がもたらす経営リスク及び機会の開示を行っています。
TCFDフレームワークに基づく情報開示
2020年には「Business Ambition for 1.5°C」キャンペーンに参加。また気候変動に対する取り組みが減速しないよう、SBTイニシアチブと国連グローバル・コンパクト主導の「Business Ambition for 1.5°C」キャンペーン賛同企業による共同声明「Uniting Business and Governments to Recover Bette」にも賛同表明しました。

金融を通じた取り組み

リコーは2020年4月に、株式会社三菱UFJ銀行とサステナビリティ・リンク・ローン契約を締結しました。今回の契約では、SBT「1.5°C目標」に沿ってリコーが設定したGHG削減目標の達成状況により金利の優遇を受けることができます。
また2023年6月には、三井住友信託銀行とポジティブ・インパクト・ファイナンスの融資契約を2年連続で締結、加えて、みずほ銀行と「Mizuho Eco Finance」の融資契約を締結しました。

排出実質ゼロへの取組み:Race to Zero Circle

【参加している他のRace To Zeroパートナー】
Science Based Targets initiative (SBTi)

【最新のインベントリや目標】
戦略 リコーグループの環境目標(2030年/2050年目標)と実績