取り組みの概要
企業活動によって生ずる環境への影響は地球環境全体にも影響すること、地球環境保全は企業の存続と活動の必須要件であることを認識し、「日清製粉グループ環境基本方針」にもとづき、自主的・積極的に廃棄物やCO2を削減するとともに、資源やエネルギーの有効活用を図る等の環境保全活動を推進します。
気候変動対策の短中長期の目標
地球温暖化対策として国内外全てのグループの事業場を対象とする2030年までの中期目標を策定ししています。目標の対象は、GHGの算定対象6ガスのうち当社グループで最も排出量が多いCO2について目標を定めています。今後は、2050年などのより長期的な目標を策定することを視野に、パリ協定や国際的な動向を注視しつつ、中期環境目標の進捗管理と確実な達成に努めてまいります。
【日清製粉グループの地球温暖化対策に関する中期目標】
・2030年度までに2013年度比でCO2総排出量26%削減(国内)
・2030年度までに2013年度比で原単位7.8%削減(海外)
※海外事業場では政策や要求事項に合わせてCO2またはエネルギーによる原単位削減目標を国毎に設定
再生可能エネルギー利用の推進
日清製粉グループでは日清製粉東灘工場、鶴見工場、日清フーズ館林工場に、再生可能エネルギーである太陽光発電設備を設置しています。そのうち日清製粉鶴見工場の太陽光発電設備では売電を行っており、一般家庭の約160世帯分の年間消費電力を発電し、火力発電に比べて、年間約250トンのCO2を削減することとなり、社会全体の環境負荷低減に貢献しています。また、海外では太陽光に恵まれたカリフォルニア州にあるミラー・ミリング・カンパニーのフレズノ工場では、大規模な太陽光発電設備を導入しています。当該製粉工場が使用する電力の約15%が再生可能エネルギーから供給されており、環境負荷の少ない製造の実現に努めています。
エネルギー効率の向上
省エネ設備の導入や徹底した生産効率の改善により、グループ全体でエネルギー使用量の削減に努めています。
また、製造だけでなく、各事業場やオフィスでは、積極的に省エネ・節電対策をしています。例えば、LED照明や人感センサー照明の採用、きめ細かい空調の温度管理により、CO2排出をできるだけ少なくする対策をしています。
スコープ3を対象とした取り組み
当社グループは、国内事業におけるスコープ3のCO2排出量を把握しています。スコープ3のカテゴリーのうち、特に当社の製品が使用される段階のCO2排出が多いことが分かっています。例えば、家庭での調理に使うエネルギーを少なくするために役立つ製品や情報を皆さまにお届けすることで、便利でおいしくご家庭でのエコライフをお手伝いしています。
当社グループでは各種家庭用製品をさまざまな容器に入れてお届けしていますが、これらの容器は消費された後に廃棄物になることから、容器包装の環境配慮設計に取り組んでいます。
温室効果ガス削減に関するその他の取り組み
CO2以外の温室効果ガス削減に関する取り組みとして、フロン類の適正管理と排出削減に取り組んでいます。
空調設備や冷凍・冷蔵設備の冷媒として使用されているフロンガスは、大気中に放出されるとオゾン層を破壊するとともに、二酸化炭素の数千倍もの温室効果があります。国内では2015年度よりフロン排出抑制法(改正フロン法)に基づき、定期点検や漏えい量の報告等が義務付けられました。
当社グループでは、国内外の全事業場において、対象となるフロン使用機器の管理台帳等を整備しており、機器の点検や更新、廃棄に至るまでの管理を確実に実施するため、自主的な管理基準を設定してフロンガス漏洩防止に努めています。
また、今後の冷媒転換や機器更新に際してはノンフロン化を推進するとともに、機器の冷媒に使用されているフロンガスのうち、特定フロン(HCFC)を使用している機器については、計画的な設備投資により、2030年をまでに全廃することを目標としています。
森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み
日清製粉グループの事業や製品にとって自然の恵みは欠くことのできないものです。将来にわたって自然の恵みが人々の健康で豊かな生活づくりの支えになることを願い、北海道厚岸郡浜中町にある霧多布湿原の保全活動を行っている認定NPO法人霧多布湿原ナショナルトラストを支援しています。霧多布湿原ナショナルトラストでは、国内で3番目の大きさを誇る湿原の豊かな生態系と周辺地域とのつながりの調査活動や湿原の水源となる川の上流域周辺及び森林の保全活動を行っています。
市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み
(株)日清製粉グループ本社環境管理室では、中学生や高校生を対象に環境授業を実施しています。環境配慮製品を提供する会社と、調理をして食べる人ができる環境配慮行動について考えます。
適応対策およびレジリエンスの向上
地球温暖化により海面上昇や津波、洪水、集中豪雨による冠水といった自然災害の被害拡大が懸念されます。気候変動が及ぼす当社グループの事業への影響を認識し、様々な適応策を講じています。国内最大級のサイロと製粉設備を持つ当社グループにとって、社会に食品を休みなく安定的にお届けすることは社会的使命です。災害時でも消費者の皆様の生活への影響を最小限に留めるように、管理体制の確立、設備の改修など食品供給を確保する対策を実施しています。
2015年に合意されたパリ協定と国連が掲げた持続可能な開発目標(SDGs)により、持続可能な発展を目指す社会の動きは加速しています。当社グループが社会にとって真に必要な企業グループであり続けるためには、これまで以上に多様な気候関連リスクに適応することが求められます。対策には時間がかかることを認識しつつ、2030年、2050年とより長期の将来を見据え、事業とより一体となった環境経営を目指してまいります。