取り組みの概要

日本生活協同組合連合会は全国約320の生協が加入する連合会です。店舗や宅配車両は有していないものの、会員である全国の生協に対して環境方針や目標を提起し、取り組みを支援するとともに、自ら実践する立場にあります。
生協は「持続可能な社会の実現」を理念に掲げており、気候変動対策を重視してきました。日本生協連としても2004年以降、その時々の情勢をふまえた水準で温室効果ガス削減目標を提起し、具体的な計画づくりを会員へ呼びかけてきました。2017年には、パリ協定をふまえた中身で長期脱炭素ビジョンをとりまとめ、現在は会員生協とともに具体的なロードマップを作成しています。
生協の削減施策の特徴は、再生可能エネルギーの導入のみならず開発を重視している点にあります。再エネを自ら創り出し、それを利用することが持続可能であるとの考えに基づいており、長期的には自らの電力使用量相当分の再エネを創り出すことを目指しています。具体的には2020年に100MW、2030年に300MW、そして最終的には500MW規模の再エネを開発することを目標に掲げ、全国の生協とともに取り組みを進めています。

気候変動対策の短中長期の目標

日本生活協同組合連合会は、気候変動対策における「2050年の私たちのありたい姿」として、次のビジョンを掲げています。「生協は再生可能エネルギーの電源開発を積極的に行い、事業で使う電気相当量を100%再エネで賄い、事業からのCO2排出を限りなくゼロに近づけていきたい」。
こうしたビジョンのもと、以下の中長期目標を設定し、会員生協にこの水準を参照した削減計画の策定を呼びかけています。
【2050年目標:CO2排出総量を基準年比90%削減する(基準年2013年)】
【2030年目標:CO2排出総量を基準年比40%削減する(基準年2013年)】
日本生活協同組合連合会も実施主体の1つとして、このビジョンと目標にコミットし、取り組みを進めています。

再生可能エネルギー利用の推進

日本生活協同組合連合会は、以下のように再生可能エネルギーに関する政策や方針を定め、会員生協へ提起しています。
【エネルギーに関する基本的な考え方】
〇原子力発電に頼らない社会の実現に向け、省エネルギーによる使用電力量の大幅削減と再生可能エネルギーの急速拡大が必要
【電力事業に関する基本的な考え方】
〇生協の資源や資産やネットワークを活用して、再生可能エネルギーを創ること、広げること
〇再生可能エネルギーを創って、使って、広げていく「発電・利用一体の再生可能エネルギー普及」を推進すること
【再生可能エネルギーの開発にあたって大切にする3つのこと】
①地域コミュニティ、②協同とパートナーシップ、③持続可能性(サステナビリティ)

こうした方針のもと、生協全体で次の目標を設定しています(現時点で約100MW)。
【長期目標:再エネ電源10憶kWh(設備容量500MW相当)電源開発】
【2030年目標:再エネ電源300MW規模の電源開発】

日本生協連もこの目標にコミットし、所有施設を利用した太陽光発電や、木質バイオマス発電へ出資参画し、その電気を子会社の新電力を通じて調達するなど、再生可能エネルギーの開発と利用を進めています。

エネルギー効率の向上

オフィスはもちろんのこと、物流子会社の物流施設においても冷凍機の更新やLED照明への切り替えを通して省エネルギーに努めています。また、同じ子会社の物流車両においても、フルトレーラーやハイブリッド車両を導入し、燃料使用量の削減を進めています。

スコープ3を対象とした取り組み

商品製造時の排出量までは含めていないものの、自社のみならず子会社・関連会社のオフィスや物流事業(配送含め)による排出量まで含めて削減の取り組みを進めています。

温室効果ガス削減に関するその他の取り組み

子会社の新電力が、再生可能エネルギーを積極的に活用した電気を、会員生協を通じて組合員へ供給しています。

森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み

CO2の大切な吸収源である森林を持続可能なかたちで利用するため、PBであるCO・OP商品において、FSC認証を得た商品の開発と販売拡大に努めています。

気候変動に関する情報開示の推進

CSRレポートやウェブサイトで気候変動対策について情報開示しています。

市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み

生協の組合員に対して、気候変動対策の重要性に関する学習会を行ったり、省エネ活動を推進するツールを提供したりしています。