取り組みの概要

荒川化学グループは、1876年(明治9年)の創業以来、天然樹脂ロジン(松やに)の化学を起点に145年以上の歴史を歩み続けてまいりました。ロジンに代表される持続可能な天然資源へのこだわりと、永年にわたり培ってきた独自の技術を用いて、製紙用薬品、印刷インキ用樹脂、粘着・接着剤用樹脂、IoTを支える電子材料などの身近な暮らしへ貢献する製品を開発・提供してまいりました。さらなる成長のため、地球環境と社会の持続的な未来に貢献するエコシステムにしっかり入り込み、ライフサイエンス関連などの素材をも手掛け、REALとDIGITALを下支えするケミカル・パートナーへの変革を目指しています。すべてのステークホルダーからの期待に応え、信頼され続ける企業となれるよう、安全を最優先に品質・環境の追求、コーポレートガバナンス機能の強化、炭素循環社会の実現に貢献するためサプライチェーンを通じたサスティナビリティへの取り組みを積極的におこない、永続的な発展を目指してまいります。

気候変動対策の短中長期の目標

2030年に向けたビジョン(2030年のありたい姿)を踏まえ、第5次中期経営実行計画における環境保安の長期方針を策定しています。
気候変動対策については、2050年CO₂排出量実質ゼロに向けたマイルストーンの位置づけで単体および国内の主要なグループ会社におけるScope1、2についての2025年度、2030年度の削減目標を設定しています。2025年度のCO₂排出量を2015年度比30%削減、2030年度のCO₂排出量を2015年度比50%削減としています。また、当社内で認定したサスティナビリティ製品の連結売上高指数の目標を設定しています。2025年度の目標は2019年度比25%以上アップ、2030年度はその水準以上を維持としています。
なお、2025年度の目標については、日本の化学業界では初めて発行したサステナビリティ・リンク・ボンドのKPIとも連動しており、サスティナビリティ課題解決のための覚悟を社内外に示しました。

サステナビリティ・リンク・ボンドの詳細についてはこちらから

再生可能エネルギー利用の推進

再生可能エネルギー電力の導入を進めています。太陽光発電設備は、大阪工場、富士工場、水島工場、小名浜工場で設置しています。2022年度は連結子会社である高圧化学工業株式会社にも設置しました。また、再エネ電気の購入も積極的に進めています。2022年度から富士工場、筑波研究所、高圧化学で再エネ電気の導入を開始しました。今後も積極的に再生可能エネルギー電力の導入を進め、持続可能な地球環境に貢献していきます。

エネルギー効率の向上

エネルギー原単位については、前年度比1%削減を目標に掲げており、各事業所でさまざまな施策により、省エネルギー活動を積極的に実施しています。
・LED照明の推進
・製造拠点変更による合理化
・運転条件見直しによる電力・蒸気削減
・定温倉庫の空調管理による電力削減
・保温強化による燃料・蒸気削減

スコープ3を対象とした取り組み

Scope3の主要カテゴリー別の算定に努めており、カテゴリー1(原材料の調達由来)が大半を占めていることを認識しております。また各製品のライフサイクルアセスメントの算出を随時おこなっております。サプライチェーンを通じたCO₂排出量削減への貢献の一環として、ロジン関連製品のバイオマス度ランクの開示再生可能原料由来のアルコールを当社ロジン誘導体製品の一部へ適用も進めております。

温室効果ガス削減に関するその他の取り組み

カーボンニュートラルLNGの導入推進

2022年度にカーボンニュートラルLNGバイヤーズアライアンスに加盟しました。持続可能な社会の実現に向け、CNLを調達・供給する東京ガスと購入する企業・法人が一丸となり、CNLの普及拡大とその利用価値向上の実現を目的として、2021年3月に設立したものです。本アライアンス参画企業・法人は、2050年の「カーボンニュートラル社会の実現」に貢献することを目指し、CNLを世の中に広く認知させるとともに、投資機関による評価向上や国内各種制度における位置づけの確立に向けて取り組みを推進しております。
カーボンニュートラルLNGの導入拡大により、従来の導入分を含めて当社グループでは、 年間約1万トンのCO₂削減に貢献できる見込みです。

森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み

アカマツの森の再生を目指す「マツタロウの森」プロジェクト

岡山県矢掛町の4.3ヘクタールの町有林に、2016年から約10年の歳月をかけて、約1万本のアカマツを植栽し、SDGs15(陸の豊かさも守ろう)にもつながることを意識しながら、人と松がともに成長できる森を育む活動であり、継続的に実施しています。また、「アカマツ」は岡山県と矢掛町のシンボルの木に指定されており、国内の松林はマツ材線虫病被害にあっている状況を鑑み、在来種から選抜、育種された松枯れ病に対して抵抗性のあるアカマツを植栽することで、アカマツ種の保存と松林の再生にも貢献しています。
「マツタロウの森」の二酸化炭素吸収量の認証も毎年取得し、植栽本数とともにモニタリングしており、年間吸収量10トン-CO₂以上の目標設定をしています。

気候変動に関する情報開示の推進

サスティナビリティ委員会を設置し、プライム企業の一員としてCDPの質問書への回答はじめ、社会からのサスティナビリティに関する開示要請に対応しています。サスティナビリティレポートやウェブサイトなどで段階的に開示をおこなっております。

市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み

2010年代前半頃から地域の小学校への出前授業や体験型イベントに参加し、当社の製品がどのように社会の役に立っているかの説明を通じて、紙やロジンなどの森林資源の大切さを学ぶ機会を提供しています。直近では岡山県矢掛町立矢掛小学校にてマツタロウ&ロジーナ教室を実施し、未来を担う子どもたちに、森林が日々の生活のなかで大切な役割を果たしていることを学ぶ機会を提供し、森林の役割や守り方、資源活用の方法を学ぶ授業をはじめ、当社が製造するサイズ剤や紙力増強剤を使用した実験を実施しました。今後は、「マツタロウの森」での植樹など自然とのふれいあいを活用しながら、子どもたちが気候変動含め未来を考えるきっかけ作りをおこなっていきます。

適応対策およびレジリエンスの向上

生産、営業、研究、管理部門など事業活動の全側面から多角的にリスクを抽出して、リスク低減の活動を推進しています。万一、気候変動などによる大規模な自然災害や火災事故、感染症の大流行等が発生した場合には、当社グループを含めたサプライチェーンにおける生産活動の停止等により影響を及ぼす可能性があり、リスクを最小限に留めるために、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安活動、災害防止策の強化に努めるとともに、BCP(事業継続計画)を策定し、定期的な訓練をおこなうことによりリスクの最小化を図っております。CO₂削減とともに持続可能な調達率やサスティナビリティ製品の連結売上高指数などを指標化し、レジリエンスの向上に努めています。

金融を通じた取り組み

日本の化学企業初となるサステナビリティ・リンク・ボンドを発行しました。
サステナビリティ・リンク・ボンドの詳細についてはこちらから

このような協働を求めています

ロジン関連製品のバイオマス素材としての活用やマスバランス方式原料を導入したロジン関連製品の展開、カーボンニュートラルなLNG推進(ボランタリークレジットの適用)、松やにのCO₂吸収量に基づいて、サプライチェーン全体での製品によるカーボンフットプリントの算定および削減につなげ、炭素循環社会の実現に貢献していきたい。