2021年7月6日、「気候変動イニシアティブ(JCI)」は、設立3周年を迎えました。この1年間のJCIの発展と活動の成果、今後の展開は以下のとおりです。

 

■3つの成果

1. この1年で174団体が新たに参加、659団体に
2018年7月6日に105団体でスタートしたJCIには、過去一年間に新たに174団体が参加し、合計659団体(企業483、自治体37、その他139)となりました。

【企業】新規参加企業には、東京製鐵、日本板硝子、AGCといった素材産業、ANAホールディングス、日本航空、川崎汽船といった運輸部門からの企業が含まれています。また全JCIメンバー企業においてはRE100、SBTに取り組む企業も増加し、RE100に参加する日本企業総数57社のうち33社がJCIメンバーであり、SBT認定取得済もしくは2年以内のSBT設定を表明済の日本企業総数143社のうち94社がJCIメンバーです。さらにJCIメンバーの外資系企業6社がRE100およびSBTの両方に参加しています。

【自治体】東広島市、生駒市、福岡市、神戸市の4自治体が参加しました(参加自治体の人口の合計は、4,623万人=日本全体の36%になっています)。

【その他】全国消費者団体連絡会をはじめ、埼玉県消費者団体連絡会、コンシューマーズ京都(京都消団連)といった地域の消費者団体も新たなメンバーに加わりました。Youth For One earth、Climate Youth Japanなどの若者団体も参加しました。

2. 日本の温室効果ガス削減目標(NDC)、再生可能ネルギー目標の引き上げを求める活動の展開

1)2030年再生可能エネルギー目標の引き上げをもとめて
2021年1月18日、JCIメンバー企業のうちRE100、SBT、CDP、TCFD にコミットする92社が「2030年度の再生可能エネルギー電力目標を40~50%に」することを求めるメッセージを公表し、これを日本経済新聞朝刊の全面広告として掲載しました。
このメッセージは、国内外で大きく報道されました。海外では17か国、40社以上のメディアで報道されました。韓国、中国、台湾、香港、インド、タイ、カンボジア、フィリピン、シンガポールなどのアジア各国・地域に加え、米国、英国、オーストラリア、ドイツ、スイス、フランス、イタリア、スペインなどでも報道されました。

2)2030年までの温室効果ガス排出削減目標(NDC)の引き上げをもとめて
2021年4月19日、パリ協定を実現する野心的な2030年目標を日本政府に求めるJCIメッセージをメンバー団体291の賛同を得て公表し、菅総理大臣、茂木外務大臣、梶山経済産業大臣、小泉環境大臣に対し、「45%を超え、50%削減へのチャレンジを」を求める末吉竹二郎JCI代表の書簡を送付しました。4月21日には、企業、自治体メンバーの参加を得て記者会見を行い、NDC引き上げを求めました。
また、本メッセージを4月22日の朝日新聞朝刊、日本経済新聞朝刊、ジャパンタイムズに掲載しました。
こうした取組みは、日本の多くの主要メディア、国際報道などでも大きく取り扱われました。これまでの26%を大きく上回る46%という2030年度目標が決定された背景には、もちろん国際的な議論の影響もありますが、291団体が賛同したJCIメッセージに代表される、気候変動対策の強化を求める国内からの声の高まりがあったことは確実です。

3)政府との対話の実施
これら二つのメッセージの公表に先立ち、気候変動対策の強化、再生可能エネルギーの拡大をめざす、小泉環境大臣、河野規制改革担当大臣と以下のように対話を行いました。
2020年12月11日、JCIのメンバー企業6社(ソニー、日本電気、日立製作所、キリンホールディングス、味の素、野村総合研究所)の執行役員などが小泉環境大臣と会談し、政府の2050年カーボンニュートラル宣言後の気候変動対策の推進について、意見交換を行いました。
2020年11月18日、JCIのメンバー企業4社(ニッセイアセットマネジメント、花王、リコー、ソニー)のCEO(予定者含む)が河野規制改革担当大臣と会談し、再生可能エネルギー拡大に向けた規制改革について意見交換を行いました。また末吉竹二郎JCI代表から、再生可能エネルギーに関する規制改革についての提案書を河野大臣に提出しました。
末吉代表とJCI事務局3団体は、同年10月21日にも河野大臣を訪問し、再生可能エネルギー拡大の方策について意見交換をしました。

3. 日本の非政府アクターの取組みの強化

1)Race To Zeroの取組み
UNFCCC(国連気候変動枠組み条約事務局)が2020年6月に発表した国際キャンペーン「Race To Zero(ゼロへのレース)」の公式パートナーとして、「JCI Race To Zero Circle」を立ち上げました(2020年12月17日)。JCI Race To Zero Circleは、JCIメンバーのRace To Zeroキャンペーンへの参加を推進するためのサークルです。今後JCIは、2050年までの排出実質ゼロに向けた取組みを加速するため、Race To Zeroキャンペーン参加を呼びかけ、世界の脱炭素化に日本から貢献していきます。

2)イベントの開催
気候危機の克服に向けた世界の動き、日本の企業・自治体の先駆的な経験を共有し、非政府アクターの取組みを高める場として、下記のイベントを開催しました。

JCIウェビナー「石炭火力を考える」(2020年7月28日)
気候変動アクション日本サミット2020(2020年10月13日)
JCIウェビナー「NDC:2050年ゼロを実現する2030年の排出削減目標とは」(2021年3月31日)
JCIウェビナー「2050年排出実質ゼロに向けて踏み出す方法:ゼロへのレースに参加する」(2021年7月1日)

 

■今後の予定

1.  気候変動アクション日本サミット2021を10月13日に開催!
日本国内の脱炭素化に向けたさらなる機運向上を目指し、本年10月13日(水)に「気候変動アクション日本サミット2021」をオンライン開催します。詳細は別途、公表します。

2. COP26への参加
本年11月1日~12日、英国グラスゴーにおいて開催されるCOP26にJCIも参加します。今回は、日本がNDCを改定して臨む最初のCOPとなります。8月の第1作業部会報告書を皮切りに、IPCCの第6次評価報告書も順次発表が始まり、深まる気候危機の実態が改めて確認されるでしょう。この機会に、日本の非政府アクターから、ポジティブなメッセージを世界に発信するとともに、対策強化が、国際的な潮流として確実に進んでいることを、国内でも発信して日本の取組みの加速につなげます。

 

PDF: 「気候変動イニシアティブ」3周年:到達点と今後の展開

 

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