2020年7月6日、「気候変動イニシアティブ(JCI)」は、設立2周年を迎えました。2年目となるこの1年間のJCIの発展と活動の成果、今後の展開は以下のとおりです。
■3つの成果
1 この1年で107団体が新たに参加、485団体に
2018年7月6日に105団体でスタートしたJCIには、2年目に新たに107団体が参加し、合計485団体(企業347、自治体33、その他105)となりました。新規参加団体には、Science Based Targets(科学的知見と整合する削減目標)の目標承認取得企業である三菱地所、ファミリーマート、ブラザー工業やRE100に参加する楽天などの企業が含まれています。また保険業界からスイス損害保険会社、第一生命ホールディングス、日本生命保険が参加。自治体では三重県など3自治体、宗教団体では創価学会が新たなメンバーに加わりました。JCIメンバー団体の温室効果ガス排出量、人口の合計は日本全体の1/3以上を占めています。
*企業の数値は集計可能な約120社の合計。
自治体の数値はダブリを除外した参加自治体の地域排出量の純計。
2 日本政府に対し気候変動対策強化を求める国内外の声を高める
JCIは本年2月4日、温室効果ガス排出削減量改定を含む国別目標(NDC)の強化を行い、国連に提出することを日本政府に求めるメッセージを発表し、環境大臣、経済産業大臣、外務大臣に提出しました。このメッセージには、248メンバー団体(159企業、25自治体、64その他団体)が署名しています。このJCIメッセージに呼応して、世界の投資家・企業グループもNDC引き上げを日本政府に求める書簡を日本政府に送りました。
政府は引き上げを行わないままNDCを国連に提出しましたが、小泉環境大臣は、「JCIの皆さんの後押しがなければ、26%にとどまらない、更なる野心的な削減努力を反映した意欲的な数値を目指すということを書くことには至らなかった」としており、今後、地球温暖化対策計画の見直しにおいて、削減対策を強化する基礎を作るものとなりました。
5月13日には、新型コロナウイルス感染拡大が引き起こしていた経済危機からの回復にあたって、脱炭素社会への転換に貢献する「緑の回復」とすることを求めるメッセージをJCI運営員会として発表しました。6月10日には、このメッセージを受けて、JCI企業メンバーと小泉環境大臣のオンライン会合が開催されました。今後とも、気候変動対策の強化に向け、環境省とJCIが協力していくことを確認しました。
3 日本と海外の非政府アクターの連携を強める
JCIが取り組む国内外での幅広い活動は、日本の非政府アクターの積極的な取組みや声を世界に届けるとともに、日本と海外の非政府アクターをつなぐ架け橋にもなっています。昨年9月に開催された、国連気候行動サミット期間中のNY気候イベントに、JCIメンバーの約20社の企業・金融機関、東京都、横浜市などの自治体、JCI事務局のCDPジャパン、自然エネルギー財団、WWFジャパンなどから、合計約50名が参加しました。JCI では、様々なイベントを通じ、日本の企業、自治体の取組みを世界にアピールするとともに、米国をはじめ世界の非政府アクターとの経験共有、情報交換を行いました。
12月2日から13日にかけて開催されたCOP25にもJCIは政府代表団メンバーとして参加しました。会期中、JCIは主催イベントを含む、3つのイベントに登壇。一昨年のCOP24に引き続き、アメリカのWe Are Still In / America’s Pledge、国際ネットワークのAlliances for Climate Actionなどの他の非政府アクターネットワークとの交流を通じて、日本の非政府アクターによる取組みを、世界に向けて発信しました。
■今後の展開
1 COP26に向け、世界の気候変動対策の強化をめざす”Race to Zero”に、日本から参加
本年6月5日に非政府アクターの新たな国際的なキャンペーンとして、”Race to Zero“が開始されました。
これは、前回と今回のCOP議長国から選出される“ハイレベル・チャンピオン”と呼ばれるリーダーたちのイニシアティブの下で行われるキャンペーンで、来年に延期されたCOP26を待つことなく脱炭素化をめざす取組みを強化し、またコロナ危機からの「緑の回復(Green Recovery, Zero Carbon Recovery)」をめざすものです。JCIは積極的にこのキャンペーンに参加していきます。
2 地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画の改正を通し、気候変動対策の強化を実現していく
2021年11月のCOP26開催の前に、地球温暖化対策計画とエネルギー基本計画の改正検討が行われます。これらの改正が石炭火力発電のフェーズアウト、自然エネルギーの大幅拡大など、脱炭素社会の実現にむけた積極的なものとなるよう、議論を進め、政府との対話を行っていきます。
3 JCIメンバー間の経験交流や気候危機、エネルギー政策、緑の回復などに関する勉強会、ワークショップを活発に開催する。
日本国内の脱炭素化に向けたさらなる機運向上を目指し、本年10月13日(火)に「気候変動アクション日本サミット2020」を開催します。また、石炭火力問題、カーボンプライシング、2030年エネルギーミックスなどをテーマに、JCIメンバーを対象に勉強会、ワークショップなどを定期的に開催し、メンバー間で知見や経験の共有を活発化していきます。