2019年12月2日から13日にかけて、COP25(気候変動枠組条約第25回締約国会議)が、スペイン・マドリードで開催されました。気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative: JCI)からは、政府代表団メンバーとして参加した末吉竹二郎代表のほか、自治体、NGO等のJCIメンバーも現地に赴きました。会期中はパビリオンスペースおよびサイドイベント会場で数々のイベントが開催され、JCIは主催イベントを含む、3つのイベントに登壇。昨年のCOP24に引き続き、日本の非政府アクターによる取組みを、世界に向けて発信しました。
12月9日(月)10:00~11:30
「Together for Higher Ambition: How Domestic Alliances of Subnational Actors Are Championing Decarbonization Around the World」
主催:World Wildlife Fund, We Are Still In/会場:COP25会場内 US Climate Action Center
JCIやアメリカのWe Are Still Inなど、各国の非政府アクターイニシアティブをメンバーとする国際ネットワーク“Alliances for Climate Actoin (ACA)”によるこのイベントには、昨年のCOP24でのイベントでも登壇した日本、アメリカ、メキシコ、アルゼンチンのほか、今年新たに国内で非政府アクターイニシアティブを立ち上げたベトナム、南アフリカ共和国を含む6か国からスピーカーが登壇しました。JCIからは、東京都環境局の千葉稔子氏(東京都環境局地球環境エネルギー部 計画課統括課長代理(計画担当))が登壇。東京都の目指す2050年実質ゼロに向けたビジョンとそれを達成するための取り組みを紹介しました。千葉氏は「都の脱炭素化は、都民の暮らしを守るとともに、企業や投資家をも引き付ける。また、東京都は常に若者の味方であり、これが私たちの求める未来だ。」と熱の込もったメッセージを発信しました。
会場は満員で、こうした非政府アクターの連携の広がりが、気候変動対策の機運を高めていることを、改めて感じることのできるイベントとなりました。
スピーチする東京都の千葉氏
12月10日(火)13:30-15:00
「気候危機に挑む日本と世界の大都市-2050年カーボンニュートラルをめざして」
主催:JCI/会場:COP25会場内ジャパンパビリオン(Pavilion 6)
JCIが主催したこちらのイベント。ジャパンパビリオン内に設けた会場はほぼ満員で、海外からの参加者も多く見られました。末吉代表のスピーチに始まり、続くパネルディスカッションでは、JCI参加自治体である京都市、東京都、横浜市に加え、先進的な気候変動対策に取り組む大都市の国際ネットワークC40のディレクターであるアンドレア・フェルナンデス氏、前述のACAをリードするWWF-USのマリアナ・パヌンシオ・フェルドマン氏が登壇しました。WWFジャパンの山岸尚之氏がモデレーターを務め、日本の都市による2050年排出実質ゼロに向けた取り組みをアピールするとともに、世界の脱炭素化に向けて都市がこれから果たすべき役割について、ディスカッションを行いました。
プログラム(敬称略、50音順)
1. 開会あいさつ
末吉竹二郎 気候変動イニシアティブ代表
2. パネルセッション
モデレーター
山岸 尚之 WWFジャパン 自然保護室 気候変動・エネルギーグループ長
パネリスト
下間 健之 京都市地球環境・エネルギー担当局長
千葉 稔子 東京都環境局地球環境エネルギー部 計画課統括課長代理(計画担当)
薬師寺 えり子 横浜市 温暖化対策統括本部長
Mariana Panuncio-Feldman, Senior Director, International Climate Cooperation, World Wildlife Fund
Andrea Fernández, Director of Governance & Global Partnerships, C40
司会:大久保 ゆり 自然エネルギー財団 気候変動グループ 上級研究員
12月10日(火)16:15-17:45
「Accelerating America’s Pledge」
主催:America’s Pledge/会場:COP25会場内 US Climate Action Center
JCIとも協力覚書を締結しているAmerica’s Pledge*が主催したこのイベントでは、冒頭のスピーチに、俳優のハリソン・フォード氏がゲストで登場。気候危機がもたらす未来への影響に警笛を鳴らすとともに、多様な非政府アクターが連携し、行動を加速化することの重要性を訴えました。また、元コロラド州知事のビル・リッター氏、イングランド銀行総裁のマイク・カーニー氏、America’s Pledgeのリーダーを務めるマイケル・ブルームバーグ氏などがスピーチし、会場の外にまで人が押し寄せていました。
JCIからは、末吉竹二郎代表がパネルセッションに登壇。日本における非政府アクターやそのネットワークであるJCIの役割と機運の高まりを伝えるとともに、次の一年に向け、日本政府が抱える課題を指摘しました。
*America’s Pledgeは、We Are Still Inなどのアメリカの非国家アクターが約束・誓約している気候変動対策を集約して定量化し、報告書を公表する活動をしています。
JCIは、America’s Pledgeと、温室効果ガスを削減していくためのベストプラクティス、戦略やデータを共有し、対策の強化に取り組んでいく覚書を締結しています。
(参考記事)米国の非国家アクターネットワーク「アメリカズ・プレッジ」と協力の覚書を締結
12月10日 「小泉進次郎環境大臣とJCIメンバーとの面談」
COP25参加のためマドリードに来ていた小泉進次郎環境大臣との面談の時間を持つことができました。JCIからは、末吉代表のほか、JCIメンバーである自治体、企業ならびに事務局団体が参加しました。
小泉大臣からは、COP 25に向けては実現できなかった石炭政策の見直しについて、帰国後も調整を進めていくという意向が表明されました。また、相次ぐ自治体による2050年排出実質ゼロの宣言に見られるように、自治体などの非政府アクターによる気候変動対策の強化は、意義の大きいものであるとの認識が示されました。
面談に参加した自治体からは、各自治体としては最大限の対策を進める一方で、国も2050年排出実質ゼロの目標を掲げ、カーボンプライシングのような実効性の高い政策を導入すること等を求めました。また、風力発電開発への国の支援を強化してほしいという要望も出されました。
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末吉竹二郎 JCI代表談話:COP25を終えて-さらなる取り組みの加速へ
(参考)COP24での活動記事
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