2020年11月18日(水)、気候変動イニシアティブ(JCI)のメンバー企業4社(ニッセイアセットマネジメント、花王、リコー、ソニー)のCEO(予定者含む。以下同じ)が河野太郎規制改革担当大臣と会談し、再生可能エネルギー拡大に向けた規制改革について意見交換を行いました。また末吉竹二郎JCI代表から、再生可能エネルギーに関する規制改革についての提案書(下部掲載)を河野大臣に提出しました。

河野大臣からは、冒頭、「総理の2050年カーボンニュートラル宣言を受け、再生可能エネルギーの主力電源化は待ったなしだ。産業界からの再エネに関する規制改革の要望を踏まえ、政府のできることは全部やっていく」との発言があり、これを受けて4社のCEOから自社の取組みの報告や政府への要望について発言しました。

この中では、世界の自社拠点の中で、欧州などでは既に半分程度を再エネに切り替えているが、日本では思うように調達できず1%台にとどまっているという状況が報告されました。また、日本での再エネ供給の遅れがもたらしている深刻な事例として、主力製品の供給先から2030年までに再エネ100%での製品製造を求められているが、工場立地地域の再エネ供給が限られている状況も紹介されました。

一方、日本企業が連携して取り組めば、脱炭素化に向けた新たな技術開発を加速することができるという発言もありました。また、エネルギー政策の長期的な方向を明確に示してもらうことにより、投資リスクを下げることができるとの指摘があり、国のエネルギーミックスで2030年に再エネを40%以上にする目標が必要という要望も出されました。

これらの各社の発言を受け、河野大臣からは、「既存のエネルギー業界などからは、再エネは不安定とか、増やすことは無理などの意見が出やすい。有識者という方々の中にも5年前、10年前の認識のままの意見がある。ぜひ産業界の現場の皆さんから、ビジネスの中で再エネが必要だという実態を紹介し、メッセージを出していただきたい」との発言がありました。

最後にJCI事務局団体から、今後の取組みを紹介し、引き続き協力していくことで合意し会合を終了しました。

■会合日時・場所:
2020年11月18日(水)16:30~17:10
内閣府 河野規制改革担当大臣室

■参加者:
JCIメンバー企業(50音順、敬称略)
大関 洋 ニッセイアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
長谷部 佳宏 花王株式会社 代表取締役 専務執行役員(2021/1/1より代表取締役 社長執行役員)
山下 良則 株式会社リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO
吉田 憲一郎 ソニー株式会社 代表執行役 会長 兼 社長 CEO

JCI代表/事務局
末吉 竹二郎 JCI代表、国連環境計画・金融イニシアティブ 特別顧問
大野 輝之 自然エネルギー財団 常務理事
大林 ミカ 自然エネルギー財団 事業局長
森澤 充世 CDP Worldwide-Japan ディレクター
高瀬 香絵 CDP Worldwide-Japan シニアマネージャー
田中 健 WWFジャパン 気候・エネルギーグループ

 

PDF:再生可能エネルギーに関する規制改革について -気候変動イニシアティブ(JCI)からの提案-


2020年11月18日

再生可能エネルギーに関する規制改革について
-気候変動イニシアティブ(JCI)からの提案-

 以下は、JCIから提案する再生可能エネルギーに関する規制改革の最初の案です。
今後、メンバーからの意見を集約し更に具体化していきます。

1 再生可能エネルギー開発に資金がまわる改革
①国が長期的な高い再生可能エネルギー目標を定め、企業・投資家が安心して、資金を投入できる環境をつくる。
②公的、私的を問わず、年金基金の資金をESG投資へ誘導するため、全ての年金基金にESG投資を実施しているか否かを報告させ、「否」の場合にはその理由等を開示する仕組みを導入する。

2 再生可能エネルギーを作りやすくする改革
③再生可能エネルギー開発に関する規制緩和
-耕作放棄地を有効活用できるよう農地法・農振法の運用を改革
-農振除外、農地転用許可の要件を緩和し、土地の有効利用を可能にする。
−国有林・保安林における自然エネルギーの調査・開発制限の見直し。
-風力発電設備などを公益的施設に位置づける。
-環境アセスメント手続きを迅速化する。
④再生可能エネルギーの送電網への接続に関する規制改革
−基幹送電線の利用実績の報告と公開を実施する。
−既存電源を含めた、より合理的な接続管理への改革を行う。
-限界費用の低い電力から優先的に供給するルール(メリットオーダー)を徹底する。

3 再生可能エネルギーを使いやすくする改革
⑤非化石証書を改め、グローバルスタンダードに沿った環境価値のトラッキング制度を整備
-どのような再生可能エネルギー電源でも同じ環境価値となってしまう現行の非化石価値証書を改め、どの地域のどんな電源が環境価値の元になっているかの情報をトラッキング(追跡確認)できる制度を透明性の高いプロセスで整備する。
⑥需要家と発電事業者でPPA(電力購入契約)を可能に
-需要家である企業が発電事業者と電力購入契約(PPA)を直接締結できるよう改革し、企業の電力調達手段の選択肢を増やすことにより、条件に合う自然エネルギーの電力を購入しやすくする。