Photo by IISD/ENB | Kiara Worth

 

2015年12月12日、フランス・パリで開催されたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)において採択されたパリ協定は、間もなく採択から5周年を迎えます。
世界の平均気温上昇を、産業革命前と比べて2度より十分低く抑えるとともに、1.5度に抑える努力を追求することを、先進国と途上国を含むすべての参加国が約束したパリ協定は、世界が一丸となって気候変動に挑むための重要な設計図です。

採択から5年の間にも、気候変動による影響は進みました。日本でも、2019年の台風15号や19号のように、これまで経験したことのない気象災害が自然と財産を破壊し、多くの国民を苦しめました。
世界では、深刻化する気候危機や、2018年に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の1.5度特別報告書が示す最新の科学に応え、政府だけでなく、企業、投資家、自治体、大学などの教育機関などの非政府アクターが、2050年までの排出実質ゼロ社会のため、力強い気候変動対策に取り組んでいます。

日本も例外ではありません。ここ数年、排出削減や再生可能エネルギーの利用拡大に向け、Science Based TargetsイニシアティブやRE100に参加する日本の企業数は大きく伸びました。
自治体もまた、その取組みをステップアップさせています。この一年の間に、2050年までに排出実質ゼロ宣言する自治体もここ一年で急増し、180を超えました。
多くのJCIメンバーを含め、日本の非政府アクターの取り組みは、まさに日本における気候変動を解決するための挑戦をリードしていると言えます。

2020年10月26日には、ついに日本政府が2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとすることを目指すと宣言しました。日本が2050年排出実質ゼロを達成し、パリ協定が目指す脱炭素社会の実現に貢献するためには、これからやらなければならないことがまだ多くあります。

以下のいくつかの例のように、JCIでは、これまでにも様々な発信を通じて、政府に対し気候変動対策の強化を求めてきました。今、政府が排出実質ゼロに向けた道筋を具体的な言葉で示し、それを可能とする政策を打ち出すことは、日本の非政府アクターが、自らの貢献を通じて、2050年排出実質ゼロに向けたこの転換を加速化するためにも不可欠です。

1.2030年までの国別目標を強化し、温室効果ガス排出削減目標の引き上げを
菅総理が2050年カーボンニュートラルを宣言(2020年10月26日)
気候変動対策強化を求めるJCIメッセージ(2020年2月4日)
日本の脱炭素リーダーシップを世界に示す長期戦略を(2019年5月16日)

2.コロナ危機からの回復を化石燃料への依存を固定化するものではなく、脱炭素社会への転換に貢献する「緑の回復」へ
オンライン・プラットフォーム「Platform for Redesign 2020」にJCIメッセージが掲載(2020年9月3日)
小泉環境大臣と「グリーン・リカバリー」に関する意見交換会を開催しました(2020年6月12日)
コロナ危機を克服し、気候危機に挑む「緑の回復」へ(2020年5月13日)

3.再生可能エネルギー拡大に向け、2030年の再生可能エネルギー目標値の引き上げと必要な規制改革を
JCIメンバー企業CEOが河野規制改革担当大臣と意見交換(2020年11月19日)
再エネ拡大に関し、河野太郎規制改革担当大臣を訪問(2020年10月21日)

これからますます本格化するパリ協定の実施段階において、非政府アクター同士、そして政府との連携が欠かせません。JCIは日本の全ての人々に資する脱炭素社会への転換を意義あるものとするため、引き続きメンバーと共に脱炭素化の最前線に立つとともに、政府との連携を続けていきます。


関連リンク

アメリカの非政府アクター連合体 We Are Still Inが発表した声明「America Is All In」(12月10日)
プレスリリース声明

ベトナムの非政府アクター連合体 Viet Nam Coalition for Climate Actionが発表した提言(12月12日)
Recommendations VCCA’s contribution to NDC implementation in Vietnam

非政府アクター連合体のグローバルネットワーク Alliances for Climate Action* によるメッセージ(12月12日)
メッセージ

*Alliances for Climate Action (ACA)は、各国においてネットゼロに向けた気候変動対策強化を目指す非政府アクターが参加するイニシアティブのグローバルな連合体です。JCIのほか、アルゼンチンメキシコ南アフリカベトナムアメリカ各国内のイニシアティブがACAに参加しています。