気候変動イニシアティブ(JCI)運営委員会は、オンライン・プラットフォーム「Platform for Redesign 2020」に、下記のとおり、日本に「緑の回復」を求めるメッセージを提出しました。

このプラットフォームは、日本の環境省の主導により立ち上げられ、世界各国が、新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関する具体的な行動や知見を共有することを目的にしています。新たに開設されたプラットフォームウェブサイトでは、2020年9月2日時点で、JCIが提出したメッセージのほか、JCI運営委員会団体である「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」やJCIメンバーである「Climate Youth Japan」、また、アメリカの非政府アクターネットワークでありJCIとはAlliances for Climate Action*を通じて協働している「We Are Still In」からのメッセージも掲載されています。ぜひ、世界の非政府アクターからの声をご覧ください。

またこれに関連し、2020年9月3日(木)日本時間20時から、各国における新型コロナウイルスからの復興と気候変動・環境対策に関する具体的な行動や知見を共有するため、世界各国の大臣や非政府アクターが集まり、オンラインの閣僚級会合が開催されます(日本語同時通訳あり)。

世界が、新型コロナウイルスからの復興と脱炭素化の両立にどう挑もうとしているのか、ぜひこちらのオンライン会合にもご注目ください。

 

各メッセージ、オンライン会合の詳細はこちらのウェブサイトから
Platform for Redesign 2020:https://platform2020redesign.org/

 

*“Alliances for Climate Action”(以下「ACA」)は、各国で気候変動対策に取り組む非政府アクターイニシアティブが協働する国際的なネットワークです。日本のJCI、アメリカのWe Are Still Inのほか、アルゼンチン、メキシコ、ベトナム、南アフリカ共和国のイニシアティブがACAに参加しています。

 

JCIメッセージ:日本語PDF英語PDF


日本からも気候危機に挑む「緑の回復」の推進を

 

私たち気候変動イニシアテイブ(JCI)は、2018年7月に、パリ協定が求める脱炭素社会の実現に向け、世界と共に挑戦の最前線に立つことを約束する日本の企業、自治体、NGOが設立した非政府アクターのネットワークです。
JCIには、日本経済をリードする大企業、地域を担う中小企業、全国各地の自治体、宗教団体、消費者団体、大学、シンクタンク、環境NPO/NGOなど、意欲的に気候変動に取組む約500団体の多様な非政府アクターが参加しています。JCIメンバー団体の温室効果ガス排出量、人口の合計は日本全体の1/3以上を占めています。
日本の非政府アクターの声を集約し、本年2月には、国別目標(NDC)の強化を求めるメッセージを、また5月には、脱炭素社会への転換に貢献する「緑の回復」を求めるメッセージを政府に提出し、対話を進めてきました。
“Online Platform Ministerial Meeting”の開催にあたり、日本の非政府アクターの声を世界の皆さんにお伝えしたいと思います。

新型コロナウィルス感染の拡大は既に多くの人命を奪い、世界と日本の経済、企業の経営、雇用、更には社会生活に深刻な影響を与えています。いま最も重要なのは、あらゆる対策を徹底し、一刻も早く感染拡大を収束させることであることは言うまでもありません。
こうした緊急の取組みを優先させつつ、忘れてならないのは人類の直面するもう一つの危機、気候危機の克服に向けた取組みの継続であり強化です。
感染拡大が引き起こす経済活動の停滞は、直近のエネルギー消費を抑制し、二酸化炭素排出量を減少させると予測されています。しかし、気候危機の克服に必要なのは、経済活動の縮小による短期的な排出削減ではなく、脱炭素型の社会・経済システムへの転換による、成長と両立する継続的で大幅な排出削減です。
気候危機への取組みが遅れれば、台風、熱波、干ばつ、洪水など人命を脅かす自然災害が制御不可能なものとなってしまいます。さらに、気候変動はマラリアやデング熱などの感染症拡大をもたらすと予測されており、今まさに世界が経験しているような甚大な影響を再び引き起こす恐れもあります。

様々な国際機関、多くの国々、多様な企業のグループから、経済回復に向けた投資を気候変動対策に貢献するものとする「緑の回復」「サステナブルな回復」が提言されています。 欧州連合のグリーンリカバリープランはその代表的な動きですが、米国でも非政府アクターのネットワーク” We Are Still In”が、よりよい回復(Build Back Better)を求める声明を発表するなど、「緑の回復」を求める声は国際的に広がっています。
日本でも、コロナ危機からの回復を脱炭素社会への転換に向けた取組みと整合したものにする必要があります。気候変動イニシアティブに参加する多くの企業、自治体はRE100に代表される自然エネルギー電力の拡大、カーボンニュートラル宣言などの取組みを先導的に進めてきました。
直近では、複数の企業や自治体のグループから、2030年の自然エネルギー電力目標を、現在の国の目標の2倍程度にあたる40~45%以上に引き上げるという提案が相次いで公表されています。

2021年11月のCOP26開催の前に、日本では、地球温暖化対策計画とエネルギー基本計画の改正検討が行われます。これらの改正が全ての石炭火力発電のフェーズアウト、自然エネルギーの大幅拡大など、脱炭素社会の実現にむけた積極的なものとなるよう、議論を進め、政府との対話を行っていきます。
日本政府に対しては、改めて、温室効果ガス排出削減量改定を含む国別目標の強化を行うことを強く求めます。また、コロナ危機からの回復を化石燃料への依存を固定化するものではなく、非政府アクターの取組みを後押しし、脱炭素社会への転換に貢献する「緑の回復」とすることを求めます。
私たちJCIは、COP26に向け、排出実質ゼロのいち早い達成をめざす世界の非政府アクターが集結する”Race to Zero”に、積極的に参加し、脱炭素化に向けた日本の取組みを加速化していきます。そして、世界の非政府アクターと共に、脱炭素社会の早期実現に貢献していきます。

 

以上

 

2020年9月3日

気候変動イニシアティブ運営委員会

 

運営委員会: 一般社団法人 イクレイ日本、 一般社団法人 エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク、 一般社団法人 CDP Worldwide-Japan、 公益財団法人 自然エネルギー財団、 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWF ジャパン)、 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)、 フロンティア・ネットワーク(TFN)