JCIメンバー:500の大台到達に当たって

気候変動イニシアティブ(JCI)のメンバー数が500の大台に乗りました。2018年7月6日の立ち上げに参集頂いた非政府アクター(NSAs)の数は105でした。これとて期待を上回り大いに驚いたのですが、それから僅か2年余りで500を超えようとは想像もできませんでした。お陰様で、JCIは人口と温室効果ガス排出量で日本全体の1/3をカバーし、日本を脱炭素化時代へ導く先導役の一つとして広く認識される存在となりました。JCIに関わるすべての皆様に心からの感謝を申し上げます。

とは言え喜んでばかりおられません。JCIの自立的成長の裏側にあるのが、「毎日が異常気象と自然災害」といっても過言でない気候危機の現実だからです。ここ数か月の日本を振り返るだけでも、豪雨、洪水、台風、猛暑、等々、枚挙にいとまがありません。目を世界に転ずればなおさらのことです。折から、大惨事となった山火事に見舞われた米加州Newsom知事の「議論の時は終わった。気候変動は目の前の現実だ。気候は非常事態だ」という悲痛な訴えほど気候危機対応の緊急性を如実に言い表しているものはありません。もうこれ以上の気候危機への無関心、無行動は許されないのです。

さて、突然襲来したコロナ禍は災厄以外の何者でもないのですが、看過してならないのは、コロナ禍をきっかけにこの世に存在するあらゆるものの見直しが始まっていることです。換言すれば、これまでやろうとしてもできなかった取り組みや改革を実行する絶好のチャンスが来たのです。そうした点に気づいた世界はコロナ禍にへこたれることなく、2つの危機の同時解決を目指して、緑の回復(Green Recovery)に力強く踏み出しています。緑の回復は21世紀の国や地域や企業等すべての存在が突破せねばならない新たな国際競争となっているのです。

こうした状況下、世界はゼロエミッションの実現に向けてまっしぐらです。言葉や行動ではなく結果の勝負です。にも拘わらず、依然として日本政府の動きが見えてきません。このままでは先を急ぐ世界に、思考停止の日本は取り残されるばかりです。JCIを生んだ原動力は「中央政府が動かなければ、NSAsは自らの意志で動く」です。日本社会の各界を代表するメンバーで構成されているJCIにとってはいよいよ本番です。自らを守り、停滞する日本を動かし、そして、世界に貢献するJCIへの期待はどんどん膨らむばかりです。

JCIの真価が問われるのはこれからです。

気候変動イニシアティブ(JCI)
代表 末吉竹二郎


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