取り組みの概要

私たち「湘南・省エネネットワーキング」は、地球温暖化防止の京都議定書が採択された翌年の1998年に、神奈川県の湘南地域に在住の市民が参加して発足した環境ボランティア団体です。 省エネの実践と地域での省エネ普及啓発活動を地道に続けてきました私たちの活動について「環境保全に向けて市民グループが省エネの推進を行った模範的な取組み」との格別な評価をいただき、「かながわ地球環境賞」受賞の栄誉に浴しております。
その後、気候(地球温暖化防止)、エネルギー(省エネルギーと再生可能エネルギー)、教育(環境学習)、まちづくり(低炭素社会)などSDGsに活動を拡げて取り組んできました。 持続可能な社会の未来をつくるためにパートナーシップを形成して地域における政策提言および普及啓発活動により社会的な課題を解決するように今後も取り組んでいきます。

気候変動対策の短中長期の目標

中期的目標としては、パリ協定達成のための中間年である2025年での我が国及び地域の進捗状況を確認して、必要があれば追加的な施策として是正処置を求めてまいります。
随時、日本国内での環境省による報告の確認および自治体での取り組み状況をベンチマーキング手法で目標値、目標達成度、要因分析、主要な取り組み施策などを評価しています。

再生可能エネルギー利用の推進

エネルギーの「地産地消」は、我が家の「自産自消」から、究極のゼロエネルギーハウスをめざしてスマートフォーラムを開催して、再生可能エネルギーや自家発電など自主的な取り組みと普及策についての動向などを紹介しています。
太陽光発電と風力発電、太陽熱温水器および燃料電池などについての状況、固定価格買取制度(FIT)・電力料金(再エネ発電賦課金)や系統連系などの動向と課題、更に EV(電気自動車)と蓄電池の動向、 再生可能エネルギー普及推進状況の自治体間比較ベンチマーキング調査、エネルギー基本計画の再生エネルギー比率目標値の達成見込みなどを調査しています。地元である神奈川県・鎌倉市などの自治体の再生エネルギー普及の可能性と課題について評価し、必要に応じ提案を行います。

エネルギー効率の向上

数多くの市民の参加により家庭でのエネルギー使用量を団体独自に「省エネ家計簿」としてデータを把握してきています。また有効な手段についても、参加者からの報告から「省エネ事例集」として纏めています。
独自の「省エネカレンダー」を作成し、市民に配布する事により毎月のテーマを「省エネ四十八手」として取り組みをチェックしていくことにより「省エネの達人」を目指す仕組みを考案しております。
他にも家庭での毎月のエネルギー使用料のデータを解析して、冷暖房などの省エネ上の主要な取り組み課題を明確にして、省エネのポイントを明示するツールを開発しました。
また、ベンチマーキング調査に基づいて、パブコメなどにより国や自治体の省エネ施策への提言などを実施しています。

スコープ3を対象とした取り組み

地球環境保全に貢献する“省エネルギー”の実践を志向しています。 原料調達から製品の廃棄などのCO2排出については、LCA(ライフサイクルアセスメント)手法で分析して、総合的に排出削減を進める必要があります。特に原材料の調達および製品などの輸送については、トラックの積載効率向上、輸送経路の短縮、アイドリングストップなどに取り組むことが求められます。また、電気自動車や燃料電池車などの低燃費かつ低炭素な輸送手段の普及が必須になっています。
製品については、環境配慮型のエコプロダクツにより低炭素化が図れるように普及拡大に努めています。家庭での省エネは冷蔵庫、エアコンなどの買い替えが大きく貢献しており、家電販売店での販売方法などについて調査して評価した結果を「五つ星のエコショップ」として認定して市民に伝えています。

温室効果ガス削減に関するその他の取り組み

二酸化炭素に次いで排出が多いのはメタンであり、湿地や池、水田で枯れた植物が分解する際に発生しますので、整地や枯れた植物の処置などにも取り組む必要があります。
鎌倉市のまちづくり審議会に市民委員として参画して、低炭素都市を持続的に開発し、環境との共生を図りつつ、調和したまちづくりに取り組んでいます。景観・風致、緑地保全・緑化推進、道路・交通整備などの都市計画・都市開発、市街地整備を進める際、特に住宅や産業施設などの大規模開発では、周囲の自然環境と共生した低炭素なまちづくりの実現と普及・拡大をめざす必要があります。市民向けに、鎌倉のまちづくり<現在・過去・未来>報告会を開催して、私たちがくらす鎌倉の持続的発展をめざして環境共生と安全・安心なまちづくりについて事例で紹介しました。
また、低炭素都市づくり 環境負荷の低減 環境共生都市づくりも重要であり、ZEH(ゼロエネルギーハウス)、サステイナブル・スマート・タウンを訪ねて、最新の省エネ技術を視察しました。

森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み

大気中の二酸化炭素の吸収源である森林が土地利用の変化などにより減少しています。
森などの自然環境については、緑地の確保、緑化の推進など自然環境との共生社会を目指して取り組んでいます。
また家庭での緑化対策として、中学校・高校生向けにグリーンカーテンづくりを体験講座として毎年開催しています。グリーンカーテンづくりについて朝顔やゴーヤの苗を受講生に配布して涼感を体験、温湿度計を配布して測定することにより、季節ごとのスマートな生活と省エネ、自然環境との共生を実習して学んでおります。

気候変動に関する情報開示の推進

インターネットで開示されている自治体の環境政策、企業の環境報告書などを検索し、ベンチマーキング調査手法で評価することにより、パブコメなどで政策を提言しています。
弊団体のSDGsへの取り組みとしては、SDGsの中から気候(地球温暖化防止)、エネルギー(省エネルギーと再生可能エネルギー)、教育(環境学習)、まちづくり(低炭素社会)などに関して地域での政策提言および普及啓発活動に取り組んできました。社会的な課題を解決するSDGsへの取り組み状況に関して目標を掲げて取り組みを把握、自己評価して情報開示に努めています。

市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み

神奈川県主催の「エコタウンかながわ」、「アジェンダの日」、鎌倉市の「かまくら環境フェスタ」、「かまくら市民活動の日」などに出展して、パネル で活動紹介や省エネ機器などを展示しました。
また、神奈川県市民環境活動報告会や鎌倉市協働事業報告会などで団体の取り組み事例を紹介しました。 他にも、会員・関係者へ省エネ関連情報をメールニュースとして情報発信しています。
今までに、報道 ラジオ・テレビ・新聞・雑誌等で私たちの活動が広く紹介されました。

適応対策およびレジリエンスの向上

緩和の努力をして、長期的に温暖化の影響による豪雨・渇水・土砂災害の規模拡大を避けることは困難ではありますが、鎌倉市など湘南地域の状況として、深刻化する局地的なゲリラ豪雨や洪水、渇水・土砂災害に対し、流域の水循環に即した水災害適応型都市づくりの推進等、特に水災害等への対処において「地球温暖化適応策」が不可欠となります。
それと同時に、豊かな環境共生型のまちづくりを地域から推進していくことも、生物多様性保全の観点からも非常に重要となりますので、生物多様性保全への貢献についても取り組んでいきます。

金融を通じた取り組み

ESG(環境、社会、ガバナンス)については、ESG投資の動向に注力し、理解を深める事など、市民レベルでの貢献に取り組みます。 ESG投資が如何に「持続的な環境共生社会の構築」に貢献できるのか、具体的には、使途を環境に限定した環境債(グリーンボンド)、エコファンド、太陽光発電投資、風力発電投資のグリーンファンドなど環境経済の動向に一層注目しています。

このような協働を求めています

パートナーシップ:交流・連携・協働 「力を合わせての取り組み

他団体などと省エネの意見交換、討議などの交流を通じて、更に報告会・発表会などでの連携を図り、相互の協働事業に進展していければと考えております。
そこで、今までに取り組んできた事例を紹介します。
国際交流として、中国の国家教育センター等を訪問して日本製の省エネナビ(電力使用量の可視化計測器)を中国で初めて紹介しました。
・国内での交流は、静岡県掛川市の「NPO法人おひさまとまちづくり」、神奈川県茅ケ崎市の「NPO法人ちがさき自然エネルギーネットワーク」の2団体を招聘して「脱炭素・省エネ湘南サミット」を開催しました。 また、奈良県奈良市の「ならエコ・エコの和」、茨城県鹿嶋市の「鹿嶋省エネ研究会」をそれぞれ訪ねて、情報の交換と共有を図りました。
・鎌倉市との協働事業として、家庭における省エネルギーへの取り組みを促進する事業を実施しました。
・鎌倉市役所の若手職員を受入れて、鎌倉市の持続的な発展の為に、環境共生および低炭素社会に向けたまちづくりについて現在・過去・未来を事例で紹介しました。身近な事例を基にまちづくりの留意点などについても諸課題を提起し、他自治体とのベンチマーキング比較・考察、ベストプラクティスなどについても紹介して、演習および討議を実施しました。
・東京ガスおよび生活協同組合コープの支援および協力を得て、家庭での省エネを地域で取り組む低炭素社会づくり事業に取り組みました。