取り組みの概要

京都市は,人類史上初の地球温暖化対策に関する国際的な約束事「京都議定書」誕生の地として,平成16年度に全国初となる地球温暖化対策条例を制定するなど,気候変動対策において先導的な役割を果たすべく,市民・事業者と一体となった取組を推進しています。
最近の取組としては,京都議定書誕生20周年の平成29年度に,世界18箇国・地域から約1,000名が参加した「地球環境京都会議2017(KYOTO+20)」において,温室効果ガスの大排出源である都市の責務を示した「持続可能な都市文明の構築を目指す京都宣言」を発表しました。
また,令和元年5月には,世界の気候変動対策に大きな影響力の持つIPCCの第49回総会が本市で開催され,「パリ協定」の着実な進展を支える「2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリガイドラインの2019年改良」(いわゆる「IPCC京都ガイドライン」)が採択されました。そして,同総会の開催を記念して京都市が開催したシンポジウムでは,門川京都市長が日本の自治体で初めて「2050年までに二酸化炭素排出量正味ゼロを目指す覚悟」を表明し,原田環境大臣や登壇者有志らと,世界の気温上昇を1.5℃以下に抑えるべく,2050年ごろまでにCO2排出量「正味ゼロ」を目指す「1.5℃を目指す京都アピール」を世界に発信しました。

気候変動対策の短中長期の目標

京都市地球温暖化対策条例において,次の削減目標を規定しています。
温室効果ガス排出量を,1990年度に比べて,
〇2020年度までに25%削減
〇2030年度までに40%削減
〇長期的には80%以上削減

再生可能エネルギー利用の推進

本市では,「京都市エネルギー政策推進のための戦略」に基づき,市民の生活の質の維持・向上につながる「原子力発電に依存しない持続可能なエネルギー社会」を目指しており,再生可能エネルギーの飛躍的な普及拡大などを推進しています。
条例に基づく特定建築物への再エネ利用設備設置の義務付けのほか,「市民協働発電制度」,「太陽光発電屋根貸し制度」,地域における再エネ事業化を支援するためのコーディネーター派遣など,市民・事業者ぐるみで再エネの拡大に取り組んでいます。本市の再生可能エネルギーの導入量は,2010年からの7年間で4.3倍に増加しています(ごみ発電・商用水力除く)。
また,再エネ利用を促進するため,関西電力株式会社の株主として,再エネの飛躍的な導入による自立分散型電源の活用を含む事業形態の革新を株主提案しています。国に対しても,指定都市自然エネルギー協議会(会長:京都市長)において必要な支援や制度の改善を求める政策提言を行っています。

エネルギー効率の向上

地方公共団体実行計画の事務事業編にあたる「京都市役所CO2削減率先実行計画」に基づき,エネルギー使用の合理化や温室効果ガス排出量の削減に向けた取組を実施しています。また,公共建築物の新増築及び改修の際に,省エネルギー推進のため,最新の低炭素技術の導入に取り組んでいます。
加えて,大規模事業者における経済活動の低炭素化を促進するため,「事業者排出量削減計画書制度」の運用をしています。
また,京都らしい環境配慮建築物を適切に評価,誘導するためのシステムである「CASBEE京都」による環境性評価の届出及び表示を推奨(大規模建築物は義務)し,環境性能の評価が高い建築物の普及を図ります。大規模建築物の建築主に対する再生可能エネルギー利用設備の設置の義務付けなど,事業活動に伴って使用するエネルギーの低炭素化を進めます。

温室効果ガス削減に関するその他の取り組み

本市地球温暖化対策条例及び計画に掲げる削減目標の達成状況を確認するため,温室効果ガスの種類別,二酸化炭素(CO2)の部門別の排出量等を算定し公表するとともに,増減要因等についても,分析を行い,温室効果ガス排出量削減につながる政策の検討を行っています。

森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み

建築物や燃料などに地域産木材を積極的に活用し,木材の需要を喚起するとともに,化石燃料の使用量を削減します。また,森林の適切な整備を進め,林業の振興を図るとともに,市民との協働を進めることにより,健全で多様な森林を育成・保全していきます。

気候変動に関する情報開示の推進

本市の取組については,広報発表,HP等への発信を通じて,積極的に情報開示を行っております。

市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み

地域コミュニティでの環境配慮行動(エコ活動)が推進し,効果的に活動の輪が広がるよう支援する「エコ学区ステップアップ事業」を行っています。とりわけ,省エネ行動を促す支援メニューの充実に努めています。 また,全市立小学校の児童(概ね4.5年生)を対象に,気候変動を含む地球温暖化問題について,自ら考えライフスタイルを見直す課題に取り組む「こどもエコライフチャレンジ推進事業」を展開。これまでに10万人を超える子どもだちが家族とともにエコライフに取り組みました。

適応対策およびレジリエンスの向上

平成31年3月に,「京都市レジリエンス戦略」を策定し,重点的取組分野として,「環境にやさしいまち」,「災害に強いまち」を掲げ,魅力と活気に満ちた都市(=レジリエント・シティ)の実現に向けた取組を進めています。 また,適応策の更なる推進を図るため,京都府と合同で,「京都気候変動適応策在り方研究会」を開催し,京都の自然環境・都市の特性を踏まえた適応策の在り方について,議論を進めています。

このような協働を求めています

世界の気候変動対策に大きな影響力のあるIPCCの第49回総会が,令和元年5月に本市で開催され,パリ協定の取組に不可欠な,各国の温室効果ガス排出量の算定方法に関するガイドライン,いわゆる「IPCC京都ガイドライン」が採択されました。
パリ協定の取組の始動が目前に迫る中,京都で誕生したこのガイドラインは,パリ協定の全締約国が使用する見込みであり,世界の環境政策の推進に再び日本が重要な役割を果たすことを示せるものと考えております。
また,本市主催の総会開催記念シンポジウムでは,門川市長,原田環境大臣など登壇者有志によって,世界の平均気温の上昇を1.5℃以下に抑えるべく,2050年ごろまでのCO2排出量の「正味ゼロ」に向けて行動することを呼び掛ける「1.5℃を目指す京都アピール」を発表しました。
「1.5℃を目指す京都アピール」について

新たな「令和」の時代が「脱炭素の時代」となるように,2050年までの「CO2排出量の正味ゼロ」を目指して,「京都議定書」,「IPCC京都ガイドライン」誕生の地として,国内外の方々と連携を深め,取組を推進してまいりたいと考えています。
ご協力をお願いいたします。