取り組みの概要
大和ハウスグループでは、創業100周年となる2055年を見据えて、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定。サステナブルな社会の実現を目指し、環境負荷ゼロに挑戦しています。
なかでも、「気候変動の緩和と適応」を最重点テーマに、脱炭素社会に向けた取り組みを加速。調達段階・自社活動・商品/サービスのそれぞれについて、「パリ協定」が求める「2℃を十分に下回る水準」と整合したSBTを設定し、省エネ対策の推進と再生可能エネルギーの活用を進めています。
その実効性を高めるため、2018年3月には、エネルギー効率の倍増を目指す「EP100」、事業運営に要する電力を100%再エネでまかなう「RE100」といった2つの国際イニシアティブに、建設業として世界で初めて同時加盟し、グループを挙げて取り組みを推進しています。
また、こうした事業運営におけるエネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用を通じて培ってきた省エネ・創エネ・蓄エネ技術を事業の競争力向上に活かし、”再エネ100%”の住宅や建築、街づくりを国内外で展開しています。
気候変動対策の短中長期の目標
大和ハウスグループでは、創業100周年となる2055年を見据えて、環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定。人・街・暮らしの価値共創グループとしてサステナブルな社会の実現を目指し、グループ、グローバル、サプライチェーンを通じて環境負荷”ゼロ”に挑戦しています。
この長期ビジョンの達成に向けては、2030年のマイルストーンとして、調達段階・自社活動・商品/サービスのそれぞれについて、「パリ協定」が求める「2℃を十分に下回る水準」と整合したSBTを設定。そこからバックキャスティングして、3ヵ年ごとの具体的な目標と計画を「エンドレス グリーン プログラム」として策定し、活動を推進しています。
再生可能エネルギー利用の推進
2018年3月、「RE100」に国内企業としては4番目に加盟。日本の再エネ比率が20%にも満たない状況を踏まえ、今すでにある再エネを社外から調達するのではなく、再エネを「自らつくる」というハードルを課し、国内における再エネの量の拡大にも貢献しながら再エネ100%を目指す考えです。具体的には、2030年までを量の拡大フェーズと位置付け、まずは電力使用量を上回る再エネ発電を開発・稼働させ、その後、順次、自家消費に切り替え、2040年までに全ての使用電力を再エネで賄う計画としています。
2020年度末現在、当社グループが発電事業者として関わる再エネ発電所は、風力・太陽光・水力の合計で全国377ヵ所、設備容量にして427MWとなり、2020年度の年間発電量は当社グループの電力使用量を初めて上回り133%に達し、2030年目標を10年前倒しで達成しました。
また、量の拡大に一定の目途が立つなか、東西両本社ビルや主要工場をはじめ全国の施工現場や住宅展示場などでも「再エネの自給自足」として当社グループの再エネ発電所由来の実質再エネ電気への切替えを進めており、当社単体の再エネ利用率は約3割に達しています。
エネルギー効率の向上
2018年3月、エネルギー効率の倍増を目指す国際イニシアティブ「EP100」に、国内企業としては初めて加盟しました。既存の自社グループ施設においてハードソフト両面から省エネ活動を徹底するとともに、今後建設する自社グループ施設は、建築事業のショールームとして活用することも視野に、原則すべてZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)としていく計画です。
こうした取り組みを通じて、エネルギー消費量あたりの売上高を、2030年に2015年比2.0倍にすることを目指しています。
スコープ3を対象とした取り組み
当社グループでは、住宅・建築物のライフサイクルにおける環境負荷ゼロを目指す長期ビジョンを掲げ、バリューチェーン全体の温室効果ガス排出量の「見える化」に取り組んでいます。
当社グループでは、事業活動からの排出量(スコープ1+2)は約1%と非常に小さく、自社以外の間接排出量(スコープ3)が約99%と大半を占めています。なかでも、長期間使用される住宅や建築物の「居住・使用段階」が約6割、「建設資材の製造・流通段階」が約2割を占めています。
そこで、商品の使用段階(カテゴリー11)、購入した製品(カテゴリー1)について、それぞれ2030年、2025年までのSBTを設定し取り組みを進めています。
温室効果ガス削減に関するその他の取り組み
SBT・RE100・EP100を通じて、「自社の脱炭素化」に取り組み、そこで得られた省エネ・再エネ・蓄エネなどのノウハウをそれぞれの事業に活かし「再エネ100%のまちづくり」として社会への実装を進めています。
その集大成の一つが、2021年4月に街びらきを迎えた、千葉県船橋市の「船橋グランオアシス」です。ここでは、マンション、賃貸・戸建住宅、商業施設などからなる、総事業面積5.7万㎡(東京ドーム1.2個分)の大規模複合開発において、それぞれの建物に省エネの工夫を織り込んだ上で、建物に設置する太陽光発電や蓄電池を駆使して街の再エネ自給率を高め、それでも足りない電力については、当社グループの再エネ発電所由来の実質再エネ電気を供給する計画としており、日本で初めての「再エネ100%のまちづくり」を実現しています。街や施設の至る所で「自社の脱炭素化」を通じて得られたノウハウが活かされており、再エネの発電から小売、街の開発から管理までを担う、当社ならではの「持続可能なまちづくり」として、全国での普及を目指しています。
森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み
環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」において、「森林破壊のチャレンジ・ゼロ」として、2030年までに、サプライヤーとの協働により、住宅・建築関連事業における木材調達に伴う森林破壊ゼロの実現を目指しています。
また、「生物多様性損失のチャレンジ・ゼロ」では、2030年までに、住宅・建築関連事業において、生物多様性に配慮した緑の量と質の向上施策を推進し、累積200万㎡以上の生物多様性に貢献した緑の創出を目指すとともに、自社関連サイトの生物多様性評価を完了させ、生物多様性保全上の重要なサイトのすべてにおいて、保全活動を継続的に実施していることを目指しています。
気候変動に関する情報開示の推進
気候変動に関する情報開示は、年1回発行のサステナビリティレポートで詳しく行っており、様々な気候変動対策や事例、パフォーマンスデータをご紹介しています。こうした継続的な取り組みを評価いただき、5年連続環境コミュニケーション大賞をいただいています。また、環境省が実施する「環境情報開示基盤整備事業」にも初年度から参画し、金融機関・投資家等との対話に活用しています。
また、CDPの質問票にも2010年から継続して回答しており、2018年度から3年連続でAリストに選定されました。
さらに、TCFDには2018年9月に賛同表明し、2019年5月にキックオフしたTCFDコンソーシアムにも参加しています。年一回発行している「統合報告書」「サステナビリティレポート」では、気候変動に関わるリスクや機会、簡易シナリオ分析の概要、ガバナンスなどについて、TCFDのフレームワークに基づく情報開示を行っています。
市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み
当社グループの環境Web サイトでは、環境長期ビジョンの動画や、環境配慮商品と事例の紹介、地域特性に応じた世界の住宅を紹介する「世界の環境共生住宅」などのコンテンツを掲載しています。また、一般生活者の方を対象として、Webマガジン「SUSTAINABLE JOURNEY」を定期的に配信。より多くの方に世界のスマートシティやサステナブルな暮らし方に関する情報をお届けし、環境に配慮したライフスタイルの参考にして頂いています。
また、2005年から次代を担うこどもたちに地球環境の大切さを伝え理解してもらうことを目的に、「こどもエコ・ワークショップ」を実施しています。このワークショップは、「住まい」をテーマに夏涼しく冬暖かくて気持ちのいい、エコな家模型をつくるもので、これまでに約7,000名以上の方にご参加いただいています。
適応対策およびレジリエンスの向上
異常気象や自然災害が頻発するなか、お客様のBCP(事業継続計画)やLCP(生活継続計画)に関わるソリューションを開発・提供していくことは、私たちの重要な使命であり事業機会の一つになり得ると考えています。
例えば、当社の「大和ハウス佐賀ビル」で取り組んだ、再エネと蓄電池を組み合わせた、再エネ100%による電力自給システムは、普段は再エネで脱炭素に貢献しつつ、災害に伴う停電時には電力を自給することでBCPをサポートします。また、2018年3月に発表した「災害に備える家」も、太陽光発電と燃料電池、蓄電池の三電池を備え非常時も10日間の電力インフラの確保を図るとともに、暴風時の飛来物による破損を防ぐ工夫などを施しています。
なお、「大和ハウス佐賀ビル」は、こうした取り組みが評価され、「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2019」において優秀賞を受賞しました。
金融を通じた取り組み
ESG投資の広がりを受け、2016年から統合報告書を発行。投資家とのコミュニケーションツールとして活用するとともに、年1回、本誌を用いた「統合報告スモールミーティング」を開催し、ESG投資家との対話の場としています。
こうした積極的な情報開示により、「FTSE4Good Index Series」、「MSCI World ESG Leaders Index」、「Dow Jones Sustainability Indices」といった、国際的なESGインデックスに多数組み入れられています。
排出実質ゼロへの取組み:Race to Zero Circle
【参加している他のRace To Zeroパートナー】
Science Based Targets initiative (SBTi)
【最新のインベントリや目標、計画の公開先】
統合報告書
サステナビリティレポート
このような協働を求めています
「気候変動イニシアティブ(Japan Climate Initiative)」への参加を通じて、人・街・暮らしに関わる様々な「脱炭素ビジネス」での協働を期待しています。