取り組みの概要

アウトドア企業のパタゴニアのミッションは、「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」 です。 私たちは気候危機によって地球上のすべての生命が絶滅の危機に直面していることを危惧しており、その原因に対処するため、私たちのビジネス、資金、ネットワークなど、有するすべての資源を使っています。

気候危機
環境的・社会的イニシアチブブック

気候変動対策の短中長期の目標

■2025年までに、サプライチェーンを含むパタゴニアの事業全体でカーボン・ニュートラル(「ネットゼロ」と同意語)を達成する。

■2020年までに、パタゴニアが所有または運営する施設において、再生可能電力のみを使用する。

■2025年までに、当社製品には再生可能な天然素材、あるいはリサイクル素材のみを使用する。

■2025年までに、パタゴニアが直接運営する事業においてゼロ・ウェイストを達成する。

私たちの本当の目標は「カーボン・ポジティブ」になることです。つまり、たとえ会社が成長したとしても、私たちが大気に出す炭素よりも多くを隔離することです。

再生可能エネルギー利用の推進

2019年時点でアメリカでは100%、世界的には76%を再生可能資源による電力で賄っています。

米国では、2018年秋時点でカリフォルニア本社および配送センターの敷地内に合計4基のソーラーパネルを増設し、米国内の電力使用量の52%を賄っています。また、電力需要の残り45%を相殺するために、社内投資部門<ティンシェッド・ベンチャーズ>を通じて米国全域で住宅用太陽光発電プロジェクトに資金を提供しています。
プロジェクトは1,500世帯以上に電力を供給し、私たちに再生可能エネルギー証書(RECs)をもたらします。

日本では一部の店舗、オフィスが使用する電気について再生可能エネルギー発電所に由来する電力比率のより高いグリッドミックスを提供する小売電力事業社に変更。
また、千葉県匝瑳市のソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)プロジェクト(合計出力410kw)に参加し、その電力をブロックチェーン技術を利用した電源特定サービスにより一部の直営店舗で使用すると共に、耕作放棄地の有機農地への再生に貢献しています。

エネルギー効率の向上

なぜリサイクルなのか?
パタゴニアの炭素排出の86%が私たちが使う原材料とそのサプライチェーンで起きています。パタゴニアがリサイクルに焦点を当てているのはそのためです。

<リサイクル素材/再生可能な天然素材のCO2削減>
リサイクルポリエステル: バージンポリエステルと比較してCO2排出量が59%削減。
リサイクルコットン: 従来のコットンと比較して節水とCO2排出量を80%削減。
ユーレックス: ウェットスーツの素材として使用される従来のネオプレンの精製過程と比較するとCO2排出量を最大80%削減。

また、私たちは長持ちする製品を作り、お客様には必要な製品を購入し、壊れたものは修理し、必要でなくなったものは人に譲ることを奨励しています。製品の使用をわずか9か月延長することで製品のカーボン・フットプリントを30%も削減できます。
リサイクルまたはリパーパスのために使い古された製品を回収しています。
サプライチェーンにおける資源効率の向上および有害物質の削減についてはブルーサイン・テクノロジーズと協調し、取り組んでいます。

<建物に関する取り組み>
2006年ネバダ州リノの配送センターを2倍の広さに拡張した際に、LEEDゴールド認証を取得。日本支社の配送センターが入居する施設(埼玉県三郷市)はLEEDプラチナ認証を日本国内の物流施設としては初めて取得。

スコープ3を対象とした取り組み

スコープ3: 137,001トンCO2e (2017年度)

繊維工場から縫製工場の下請け業者に至るまで、当社のグローバルな製造サプライチェーンにおける環境への影響を管理する「科学薬品と環境インパクトのためのプログラム(CEIP)」を開発。
当該プログラムには確固とした一連の要件があり、パートナーと協力して、環境管理システム、化学薬品管理、廃棄物管理、水消費、エネルギー消費、および大気排出の5つの主要面に関して進歩的な行動計画を設定。
CEIPチームはサプライヤーと協力して温室効果ガスの排出量を計算し、より効率的な方法に切り替えたり、炭素排出量の低い、あるいは全くないエネルギー源を導入して、温室効果ガスの削減を行います。

また、サプライヤーが再生可能エネルギーに移行出来ない地域では、その地域におけるエネルギー使用量を相殺する為に、莫大な再生可能エネルギー・プロジェクトへの多額な投資を検討しています。
国ごとに異なる経済機会、障害、そして潜在的な投資及びプロジェクト展開のパートナーについて分析中で、この事業は始まったばかりです。私たちのサプライチェーンが再生可能エネルギーに移行するにつれ、敷地外での再生可能エネルギー・プロジェクトの必要性は減少すると予想されています。

温室効果ガス削減に関するその他の取り組み

パタゴニアはどのようにしてカーボン・フットプリントを削減しているのか

新たな立地で事業を開始する際には、新しい建物ではなく既存の建物の使用を優先しています。また、建物拡張の指標とすべき持続可能な建築原則を策定しています。
その中には、影響の少ない建築技術、エネルギー効率、再生可能エネルギー、パッシブ暖房と冷房、再生材、低VOC塗料が含まれます。
例えば、リノ配送センターでは、敷地内に設置されたソーラーパネルに加えてナイトフラッシュ・システムを採用し、毎晩倉庫内に冷たい空気を送り込み、冷房機器の必要性を排除しています。

また、米国本社では、カープール(車の相乗り)、自転車、スケートボード、あるいは公共交通機関を利用した従業員に片道2ドル、最大で年間500ドルまでの報奨を支給する「ドライブ・レス・プログラム」を実施しています。
2018年度は900人を超える従業員が、総計で951,482マイル(1,531,262キロメートル)の単独乗車での自動車運転を回避しました。

森林・土地利用・農業等の自然環境を対象とした取り組み

ROC認証制度:
リジェネレイティブ・オーガニック・サーティフィケーション(環境再生型オーガニック認証/ROC)を活用し、当社のアパレル用繊維原料となるコットンの栽培、およびパタゴニア・プロビジョン用の食材の栽培法として環境再生型有機農業を拡大し、土壌を回復させ、大気中から二酸化炭素を回収する取り組みを進めています。2014年にロデール・インスティチュートの研究者は、現存の農地が環境再生型有機農業に移行すれば、世界中の毎年の二酸化炭素排出量の100%を土壌に隔離することができると予測しています。
ROCの取り組みは他企業にも拡がり、ロデール・インスティテュートやドクターブロナーが賛同しています。

リジェネレイティブ・オーガニック・サーティフィケーション
地面の下に着目する農業

カーボン・インセッティング:
主要なサプライヤーや非営利団体のパートナーと協力して、森林再生イニシアチブのようなカーボン・インセッティングプロジェクトも探究しています。

気候変動に関する情報開示の推進

環境的・社会的イニシアチブブック
気候危機ページ
フットプリントクロニクル:パタゴニアのサプライチェーン
フットプリントクロニクル:惑星への影響
B-corp

市民の気候変動への理解・行動を促す取り組み

パタゴニア環境助成金プログラム
パタゴニアは毎年の売り上げの1%を世界中の環境団体に寄付し、環境危機の最前線の国や地域で活躍する人びとを草の根レベルで支援しています。自然環境保護、気候危機への対策、脱炭素社会にむけて再生可能エネルギーの推進、石炭火力発電所の見直し、新たな炭素固定の取り組みをすすめる非営利団体の支援を強化しています。

草の根環境活動家のためのツール会議
「ツール会議」は、研修、宿泊、食事など、すべての会議費用をパタゴニアが負担し、参加者とストーリーや知識、そしてキャンペーン戦略、資金調達、ロビー活動、メッセージを伝える方法など、専門トレーナーをむかえて重要な課題に取り組みます。

Vote Our Planet:「私たちの地球の為に投票しよう。」
気候危機問題が加速度的に深刻化する中で、自社の悪影響を最小限に抑えるという内向きの努力だけでは不十分なことは明らかです。2019年参議院議員選の投票日、私たちはストアを閉店することでスタッフが家族、友人、大切な人たちと会話できる機会を提供しました。

Worn wear
私たちが会社としてできる最も責任あることのひとつは、長持ちし、修理可能な高品質の製品を作ることで、それにより皆様は消費を抑えることができます。
Worn Wearは着ることについてのストーリーを祝い、皆様にギアを長く使っていただき、修理不能になったパタゴニア製品を簡単にリサイクルするための方法を提供するプログラムです。

金融を通じた取り組み

ティンシェッド・ベンチャーズ:責任あるビジネスへの投資
2013年、事業を通して最も困難な環境問題解決に取り組む、志を同じくする責任ある新興企業の支援を行う内部投資部門、ティンシェッド・ベンチャーズを創設しました。
再生可能エネルギーへの投資に加え、炭素排出量の多い慣行への依存を減らすため、製品に使用できるバイオベースの素材や化学物質、従来の工業プロセスよりも少ないエネルギーや水を使用する技術を含む初期段階にある革新的技術を模索しています。投資先の1社であるターサス・ソリューションズは、一般的な洗浄加工に比べて約35%エネルギー消費の少ない、液体二酸化炭素を使用して原料や衣類を洗浄、加工する循環型の産業洗浄技術の開発しました。

このような協働を求めています

パタゴニアが支援するNGO、アクションのご紹介
パワーシフト・キャンペーン
「市民や地域が主体となってつくられた自然エネルギーの電力を選びたい」という市民・消費者の声を、たくさん集めて世論として大きく広げ、政府に届けるとともに、電力会社に対してもニーズを伝えていきます。