2024年7月6日、「気候変動イニシアティブ(JCI)」は、設立6周年を迎えました。
この1年間のJCIの発展と活動の成果、今後の展開は以下のとおりです。


■1年間の活動の成果

1. 6年で参加団体が800超えに:新たに44団体が加わり812団体に

2018年7月6日に105団体でスタートしたJCIは、6年で合計812団体(企業616、自治体40、その他156)が参加する日本最大規模の非政府アクターのネットワークとなりました。この一年間に新たに参加した44団体は、東証プライム市場上場企業10社を含む29社の企業、2つの自治体、13のその他の団体です。

全JCIメンバー企業においてはRE100、SBTに取り組む企業もさらに増加しています。RE100に参加する日本企業総数88社のうち62社がJCIメンバーであり、SBT認定取得済もしくは2年以内のSBT設定を表明済みの日本企業総数1201社のうち181社がJCIメンバーです。また、Race to Zeroに日本から参加する208団体のうち93団体がJCIメンバーです。

2023/7/1~2024/7/5 新規参加メンバー44団体(50音順)

メンバー団体一覧

2. JCI提言・メッセージ

2-1) カーボンプライシング提言
2023年12月5日、「気候変動イニシアティブ(JCI)メンバーによるカーボンプライシング提言:2030年GHG排出削減目標と国際競争力強化の同時達成に向けて」を公表しました。

JCIメンバー186団体(企業140、自治体9、団体・NGO等37)が賛同し、名を連ねた本提言は、2030年までに日本の温室効果ガス排出量半減を可能にするカーボンプライシングを日本で実現させ、国際競争力ある経済への道を開くことを目指すものです。当時の政府案を改善し、導入時期を2025年を目処に前倒しすること、国際水準の炭素価格を目指すこと、対象部門の総排出量上限の設定と制度参加・排出削減の義務づけを行うなど、今後の制度設計で満たされるべき6つの原則を提示しました。COP28ジャパンパビリオンでのJCI主催イベントにて発表を行い、国内外の数多くのメディアでも取り上げられました。

末吉竹二郎・加藤茂夫JCI共同代表は、同日、共同代表からの書簡を内閣総理大臣、外務大臣、財務大臣 兼 内閣府特命担当大臣(金融)、経済産業大臣、環境大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)あてに送付しました。また、12月25日、JCI事務局は内閣府再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォースの会議に出席し、河野太郎規制改革担当大臣へJCIメンバーからの期待や懸念を伝え、さらに高い実効性のあるカーボンプライシングの導入を求めました。河野大臣からは、今日の議論を踏まえて、より実効性のあるものとなるような検討を政府内でやっていかなければならないという前向きなコメントが出され、その後政府内で「早期義務化」の検討も始まりました。

2-2) 1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求めるメッセージ

2024年5月から6月にかけて、JCIメッセージ「1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求める」メッセージの賛同募集を行いました。このメッセージには、216団体(企業 153、自治体 5、大学・研究機関6、団体・NGO等52)が賛同し、名を連ねました。(公表は周年記念日後の7月8日)

本メッセージは、「2035年GHGs削減66%以上のNDCと、それを実現する第7次エネルギー基本計画を」、「今こそ、エネルギー効率改善と再生可能エネルギー導入加速で、化石燃料からの早期脱却を」を柱として、2035年までの石炭火力の廃止と、エネルギー効率改善と再生可能エネルギー導入加速による化石燃料からの早期脱却を提言しています。また、第7次エネルギー基本計画がエネルギーの需要側や次世代を含む開かれた場で、科学的知見に裏付けられた幅広いレベルでの議論を経て策定されることを求めています。

末吉竹二郎・加藤茂夫 JCI 共同代表より、内閣総理大臣、外務大臣、財務大臣 兼 内閣府特命担当大臣(金融)、農林水産大臣、経済産業大臣 兼 GX実行推進担当、国土交通大臣、環境大臣、内閣府特命担当大臣あてに、書簡を送付し、今後、各省庁と面談の場を設定していきます。

3. 日本の非政府アクターの取組みの強化:イベントの開催

気候危機の克服に向けた世界の動き、日本の企業・自治体の先駆的な経験を共有し、非政府アクターの取組みを高める場として、下記のイベントを企画・開催しました。

JCI連続ウェビナー第1回「科学を知る: IPCC第6次評価報告書 統合報告書のポイントと削減目標・移行計画策定の最新動向」(2023年7月13日)
JCI連続ウェビナー第2回「現状を知る:日本のGXは脱炭素化を実現するか?GX政策の現状と課題」(2023年8月30日)
JCI連続ウェビナー第3回「声を上げる:ネットゼロのためのアドボカシーと政策|非政府アクターに求められる行動とは」(2023年9月28日)
気候変動アクション日本サミット2023(2023年10月6日)
イベント@COP28ジャパンパビリオン(2023年12月5日)
JCIウェビナー「COP28からの示唆:日本に今後求められる行動とは?」(2024年1月30日)
企業×メディアの交流会「気候変動時代のコミュニケーションについて」(2024年4月23日)
JCIウェビナー「日本のエネルギー政策はどうあるべきか:1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは」(2024年6月5日)

■今後の予定

今年は第7次エネルギー基本計画と次期温室効果ガス削減目標(NDC)の策定が見込まれ、これからの政策を大きく左右する重要な年です。JCIは、日本の気候変動対策への機運を高め、あらゆる主体の具体的な行動を加速させ、日本の削減目標や気候変動政策を世界が目指す1.5度目標に整合するものへと変えていくための活動を展開していきます。

1. 気候変動アクション日本サミット2024を開催(2024年10月18日)

日本国内の脱炭素化に向けたさらなる機運向上を目指し、本年10月18日(金)に「気候変動アクション日本サミット2024(JCAS2024)」を会場+オンラインで開催します。詳細は別途、公表します。

2. COP29への参加(2024年11月)

本年11月11日~22日、アゼルバイジャンのバクーにおいて開催されるCOP29への参加を予定しています。


▶2023/7/1~2024/7/5 新規参加メンバー44団体(50音順)

〇企業

株式会社アイル GMOペイメントゲートウェイ株式会社
AGBIOTECH株式会社 株式会社JOAホールディング
株式会社アルファシステムズ 株式会社すかいらーくホールディングス
e-dash株式会社 株式会社スキルアップNeXt
AREホールディングス株式会社 株式会社ゼロボード
株式会社EDO KAGURA 株式会社ZOZO
NTTアーバンソリューションズ株式会社 宝ホールディングス株式会社
おひさま進歩エネルギー株式会社 原貿易株式会社
株式会社オリエントコーポレーション BeaconLink合同会社
株式会社格付投資情報センター 株式会社プロネクサス
川崎未来エナジー株式会社 株式会社HorizonXX
GridBeyond 合同会社 株式会社松屋
株式会社ケーズホールディングス ヤマシンフィルタ株式会社
South Pole Japan株式会社 株式会社レッドマルスADベンチャー
GEDF株式会社

〇自治体

葛飾区
武蔵野市

〇NGO、その他

一般社団法人 あつぎ市民発電所
特定非営利活動法人 環境経営学会
気候訴訟ジャパン
一般社団法人Climate Integrate
公立鳥取環境大学
一般社団法人コーポレート・アクション・ジャパン
一般社団法人JELF(日本環境法律家連盟)
持続可能な社会のためのジャパンユースプラットフォーム (JYPS)
一般社団法人SWiTCH
Studio Ichigo
所沢環境市民の会
一般社団法人Media is Hope
ワーカーズコープ連合会