2023年11月30日から、会期を一日延長して12月13日まで、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイにてCOP28(気候変動枠組条約第28回締約国会議)が行われました。

今回のCOPはパリ協定開始後初めて、その進捗評価の仕組み「グローバルストックテイク」の成果が、合意文書としてまとめられました。

昨年は合意にいたらなかった「すべての化石燃料の段階的廃止」が今回も交渉の大きな争点となり、結果的に「化石燃料からの脱却」という形で、初めてすべての化石燃料への言及に合意することができました。

2025年には、各国が2035年削減目標を含む次期NDC(国が決定する貢献:Nationally Determined Contribution)を提出します。今後は、グローバルストックテイクの合意文書が示すメッセージを受け、各国が確実に実施に移していかなければなりません。これを後押しするべく、COP28期間中、非常にたくさんの多様な非政府アクターの行動もまた、大きな存在感を発揮していました。

気候変動イニシアティブ(JCI)からも多くのメンバーが現地に赴き、イベント開催・登壇や国内外のステークホルダーとの対話などを通じて、日本の非政府アクターの取り組みを発信し、また世界の最先端の動向を吸収しました。


目次
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1. イベント開催・登壇

■12月2日(土):Race To Zero / We Don’t Have Time共催セッション
「政策インセンティブの事例:ネットゼロエミッションの実施ギャップを縮める」
■12月5日(火):JCI主催イベント
「1.5℃に向けてともにアクション:日本社会が持続可能な脱炭素社会を実現するために」
■12月5日(火):Alliances for Climate Action (ACA) 主催イベント
■12月6日(水):ベトナム天然資源環境省(MONRE)/独立行政法人国際協力機構(JICA)主催イベント
「政府とビジネスのパートナーシップを次のレベルへ引き上げる:ベトナムでのネットゼロとNDC実施におけるグリーンな移行と企業連携のためのビジネス対話」
■12月9日(土):Race To Zero主催イベント
「気候政策への関与 – 企業はどのように気候提唱者(クライメート・アドボケート)をリードできるか?」

2. JCIメンバーとステークホルダーとの対話

■12/3 Race To Zero、InfluenceMap
■12/4 CDP、SBTi
■12/8 Race To Zero ラウンドテーブル
■12/10 伊藤信太郎環境大臣

3. 発行物への掲載など

■Race To Zero /We Don’t Have Time共同制作ビデオに門川大作 京都市長が出演
■Race To Zero Annual Progress ReportにJCIのアドボカシー活動等が掲載
■UNFCCC Global Climate Action Platform (NAZCA)の COP28ページに、12/5にJCIが発表したカーボンプライシング提言が掲載


1. イベント開催・登壇

■12月2日(土):Race To Zero / We Don’t Have Time共催セッション「政策インセンティブの事例:ネットゼロエミッションの実施ギャップを縮める」

政策インセンティブを高めるための非政府アクターによるアドボカシーがなぜ重要なのか、そしてなぜ各国政府はより強力な政策インセンティブを通じてゼロエミッションの実施ギャップを縮める必要があるのかについて、世界各国のリーダーが議論するセッションに、阿部守一 長野県知事が登壇し、長野県の取り組みを共有しました。

◇日時:2023年12月2日(土)15:00-15:30 ドバイ時間(同日 20:00-20:30 日本時間)
◇会場:COP28 Climate Hub
◇言語:英語
◇登壇者:
阿部 守一 長野県知事
Tom Tayler, Head of Climate Finance, Aviva Investors
Catherine McKenna, CEO, Climate and Nature Solutions
Martin Ochieng, Group Managing Director, Sasini Plc

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■12月5日(火):JCI主催イベント「1.5℃に向けてともにアクション:
日本社会が持続可能な脱炭素社会を実現するために」

IPCC第6次評価報告書統合報告書が示したように、世界の平均気温上昇を1.5℃に抑えるためには、2035年までに世界のCO2を65%削減する必要があります。その実現には、あらゆる主体がともに力を合わせ、取り組みを強化し、加速させていかなければなりません。
本イベントでは、企業、金融機関、自治体、NGOなど日本の非政府アクターの連合体である気候変動イニシアティブ(JCI)メンバーを含む国内外から参加した多様なスピーカーが、1.5度目標の実現、特に2030年や2035年といった中期目標に向けた自身の取り組みを紹介。それぞれのセクターの視点から、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するために、日本社会全体でどのように取り組んでいくべきか、必要な政策とは何かを議論しました。

◇日時:2023年12月5日(火)13:00-14:15 ドバイ時間(同日 18:00-19:15 日本時間)
◇会場:COP28ジャパン・パビリオンセミナー会場
◇言語:英語

◇プログラム(敬称略)
1.開会あいさつ
加藤 茂夫 気候変動イニシアティブ共同代表

2. JCIリーダーズサークルからのメッセージビデオ

3.パネルセッション:2035年に向けて: 中期目標と迅速なアクションの重要性

スピーカー(50音順):
青柳 一郎 富士通株式会社 グローバルビジネスソリューションビジネスグループ Solution Service Strategic本部 本部長
大関 洋 ニッセイアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
高瀬 香絵 自然エネルギー財団 シニアコーディネーター
千葉 稔子 東京都環境局 気候変動対策部 気候変動対策専門課長
Karen Pflug Ingka Group IKEA, チーフサステナビリティオフィサー
Nathan Cooper Race To Zero, Department Director, Policy and Engagement

モデレーター:田中 健 WWFジャパン 気候・エネルギーグループオフィサー

4.閉会あいさつ
加藤 茂夫 気候変動イニシアティブ共同代表

■12月5日(火):Alliances for Climate Action (ACA) 主催イベント

JCIなど10か国の非政府アクターイニシアティブが参加する国際ネットワーク「Alliances for Climate Action (ACA)」が3つのセッションを開催しました。脱炭素の取り組みにおける地域の役割に焦点を置いたセッションでは、5か国から自治体の代表らが登壇。JCIからは東京都環境局 気候変動対策部 気候変動対策専門課長 千葉 稔子氏が登壇し、東京都の取り組みを力強く発信しました。

◇日時:12月5日(火)14:30-18:00
◇会場:COP28ブルーゾーン内 WWF/ACAパビリオン
◇言語:英語

■マルチレベルな行動を活かす:地域気候行動サミットの振り返り
時間:17:15-18:00ドバイ時間(22:15-23:00 日本時間)
登壇者:東京都環境局 気候変動対策部 気候変動対策専門課長 千葉 稔子氏ほか

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■2030年への道: NDC強化の実現における自治体と非国家アクターの役割
時間:14:30-15:45ドバイ時間(19:30-20:45 日本時間)

登壇者:ゴンザロ・ムニョス 国連COP25気候変動ハイレベルチャンピオン 、マニュエル・プルガル・ビダル WWF気候・エネルギープラクティスリーダーほか
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■UACA (アラブ首長国連邦の非国家アクター連合): 設立一年のインパクト
時間16:00-17:00ドバイ時間(21:00-22:00 日本時間)
登壇者:国連COP28気候変動ハイレベルチャンピオン ラザン・アル・ムバラク氏ほか
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プログラム:

■12月6日(水):ベトナム天然資源環境省(MONRE)/独立行政法人国際協力機構(JICA)主催イベント「政府とビジネスのパートナーシップを次のレベルへ引き上げる:ベトナムでのネットゼロとNDC実施におけるグリーンな移行と企業連携のためのビジネス対話」

ベトナムにおけるネットゼロ達成に向けたグリーンな移行のため、政府と企業いかに連携すべきかについて議論するセッションに、加藤茂夫 JCI共同代表が登壇し、日本におけるJCIの活動などの経験、非政府アクターの野心的な動きの重要性を共有しました。

◇会場:COP28ブルーゾーン内 ベトナムパビリオン
◇言語:英語
◇プログラム・登壇者

■12月9日(土):Race To Zero主催イベント「気候政策への関与 – 企業はどのように気候提唱者(クライメート・アドボケート)をリードできるか?」

Race To Zero主催のこのイベントでは、企業や金融機関がより迅速に排出量削減に取り組むためには、どのような政策的インセンティブが必要なのか?「レース・トゥ・ゼロ」を勝ち抜くために、どのような規制動向や政策的勝利が待ち受けているのか?1.5℃の未来に合致した政策を提唱する上で、業界団体の役割は何か?について、企業、金融機関、We Mean Business CoalitionなどのNGOとともに議論しました。JCIからは末吉竹二郎 JCI共同代表が登壇し、日本におけるJCIのアドボカシー活動を紹介しました。

◇会場:ブルーゾーン内 ビジネスパビリオン
◇言語:英語
◇プログラム・登壇者:

進行:Tessa Vincent, Policy Engagement Lead, Race to Zero
1. 基調講演:Senator Sheldon Whitehouse, United States Senator for Rhode Island

2. パネルセッション1:企業は気候政策への関与をどのようにリードできるか?気候系NGOは気候政策への関与をどのように支援できるか?私たちに必要な行動とは?
Andrew Prag, Managing Director Policy, We Mean Business Coalition(モデレーター)
Helen Walter Terrinoni, Director Global Policy, Trane
末吉 竹二郎 JCI共同代表
Timothée Mace Dubois, Head of Institutional Affairs, Schneider Electric

3. パネルセッション2:企業の気候変動リーダーたちは、どのように業界団体による政策関与に関わっているのか?これをどのように拡大できるのか?現在あまり関与していない業界団体や、気候変動に焦点を当てた新たな企業アドボカシー団体の役割は何か?
Dylan Tanner, CEO and Founder InfluenceMap (モデレーター)
Munoz Rodriguez Miguel, Head of Climate Policies and Alliances,
Iberdrola
Heather Buchanan, Co-Founder and CEO, Bankers for Net Zero Net
zero alliance: Bankers for Net Zero
Fiona Duggan, Global Sustainability Senior Manager – Advocacy,
Unilever
Ioana Petcu, Advisor Climate Change Euroelectric


2. ステークホルダーとの意見交換
■12/3 Race To Zero、InfluenceMap
企業のJCIメンバーが、国連キャンペーン「Race To Zero」の政策エンゲージメントチーム、非営利シンクタンクInfluenceMap Executive Director ディラン・ターナー氏らと、アドボカシーやロビイングの現状、日本における課題などについて意見交換を行いました。

■12/4 CDP、SBTi
企業のJCIメンバーが、CDP Chief Impact Officer ニコレット・バートレット氏、SBTi Head of Outreach Engagement トレイシー・ワイマン氏と意見交換を行いました。両氏からはそれぞれグローバルな最新動向を聞き、JCIメンバーからは日本における課題などを共有し、活発な意見交換が行われました。

■12/8 Race To Zero ラウンドテーブル
国連キャンペーン「Race To Zero」の主催で、企業やNGOが集まり、企業がどのように政府や業界団体に対しポジティブな変容を促していけるかを議論するラウンドテーブルを開催。末吉共同代表が参加し、JCIのアドボカシーの取り組みや日本の動向を共有しました。

■12/10 伊藤信太郎環境大臣
企業、若者団体、NPOなどのJCIメンバー、末吉共同代表が、現地に赴いていた伊藤信太郎環境大臣と意見交換を行いました。参加したメンバーから、それぞれの取り組みや政府への期待を大臣に伝えました。


3. 発行物への掲載など
■Race To Zero /We Don’t Have Time共同制作ビデオに門川大作 京都市長が出演
ビデオはこちらから
■Race To Zero Annual Progress ReportにJCIのアドボカシー活動等が掲載
記事:Race To Zeroが2023年進捗レポートを公開
レポートはこちらから
■UNFCCC Global Climate Action Platform (NAZCA)の COP28ページに、12/5にJCIが発表したカーボンプライシング提言が掲載
NAZCA COP28ページはこちら


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