気候変動イニシアティブ(JCI)連続ウェビナー
第2回「エネルギー危機と気候変動対策:クリーンエネルギー戦略に求められるものは何か」

ロシアによるウクライナ侵攻が、世界のエネルギー供給を不安定化させ、原油や天然ガス価格の高騰を招く中、4月4日に公表されたIPCC第3作業部会の第6次評価報告書は、排出削減の緊急性を改めて明らかにしました。現在の政策では世界の気温上昇が3.2℃に達すると警告し、COP26で合意された 1.5℃目標の達成には、遅くとも2025年までに温室効果ガスの排出をピークアウトさせ、2030年までの43%削減(2019年比)が不可欠としています。

一方で、政府は、6月をめどに「クリーンエネルギー戦略」の策定を進めています。この戦略は、風力発電、太陽光発電など再生可能エネルギー開発の促進を中心に据え、2030年に向けた日本の再生可能エネルギーの導入を大きく加速するものとする必要があります。

今回のJCIウェビナーでは、IPCCの新報告書が示す排出削減の緊急性、またエネルギー危機の中でも気候変動対策をあいまいにすることなく、再生可能エネルギー導入を加速するクリーンエネルギー戦略のあり方について、報告を行い議論を進めました。

登壇者資料は下記プログラム内の「資料PDF」からご覧いただけます。
アーカイブ動画はこちら↓

◇日時:2022年5月13日(金)13:30 – 15:30
◇参加費・参加登録:無料・要事前Web登録
◇開催方法:zoomウェビナー

◇プログラム

1 開会あいさつ
末吉 竹二郎 気候変動イニシアティブ(JCI)代表

2 講演
講演(1)IPCC第6次評価報告書が提起した気候対策の緊急性  資料PDF
増井 利彦 国立環境研究所 社会システム領域 領域長

講演(2)エネルギー危機と自然エネルギーの役割 資料PDF
大野 輝之 自然エネルギー財団 常務理事

3 議論 クリーンエネルギー戦略はどうあるべきか/質疑応答
増井 利彦 国立環境研究所 社会システム領域 領域長
大野 輝之 自然エネルギー財団 常務理事
山岸 尚之 WWFジャパン 自然保護室 気候エネルギー・海洋水産室長

進行:榎堀 都 CDP Worldwide-Japan アソシエイト・ディレクター

 


JCIメッセージへの賛同を募集中(5月31日締め切り)
「いまこそ再生可能エネルギーの導入加速を-エネルギー危機の中でも気候変動対策の強化を求める-」

気候変動イニシアティブ(JCI)は、非政府アクターの声を一つにし、政府に対してエネルギー危機の中にあっても気候変動対策をあいまいにすることなく今こそ再生可能エネルギー導入の加速を求めるメッセージへの賛同を募集しています。JCIに参加するあらゆる非政府アクターが賛同することができます。
メッセージ本文や賛同方法の詳細については、下記URLをご覧ください。
https://japanclimate.org/news-topics/jci-message-re/

◆気候変動イニシアティブ(JCI)連続ウェビナーについて

気候変動イニシアティブ(JCI)は、国内の気候変動政策に関していま最も重要と思われるテーマを取り上げ、ウェビナーを連続開催しています。
第1回「カーボンプライシング」(2022年3月18日)資料・アーカイブ動画はこちら
第2回「クリーンエネルギー戦略」(2022年5月13日)
第3回「石炭火力発電フェーズアウト」※後日、JCIウェブサイトにて詳細をお知らせします。


登壇者プロフィール(登壇順)

 

 

  末吉 竹二郎 気候変動イニシアティブ(JCI)代表

東京大学を卒業後、1967年に三菱銀行(現 三菱東京UFJ銀行)に入行。1998年まで勤務した。 日興アセットマネジメントに勤務中、UNEP金融イニシアチブの運営委員メンバーに任命された。現在、アジア太平洋地区の特別顧問としてUNEP金融イニシアチブの活動を支援する傍ら政府や地方自治体の審議会委員などを務める。現在、公益財団法人 自然エネルギー財団 代表理事 副理事長、 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン 会長。この他、セミナーや講演会、大学での授業などを通じて環境問題や社会的責任(CSR)、社会的責任 投資(SRI)についての講演等を行う。
主な著書に『ビジネスに役立つ!末吉竹二郎の地球温暖化講義』(東洋経済新聞社)、『有害連鎖』(幻冬舎)、『最新CSR事情』(北星堂書店)、『グリーン経済最前線』(岩波新書、共著)がある。

 

  増井 利彦 国立環境研究所 社会システム領域 領域長

大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了。1998年国立環境研究所研究員、2002年同主任研究員、2006年同室長を経て2022年より現職。国立環境研究所では、AIM(アジア太平洋統合モデル)の開発と様々な環境政策のシナリオの定量化を行う。2000年から東京工業大学にて連携教員(現在は特定教授)も務める。中央環境審議会臨時委員。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次評価報告書第3作業部会執筆者。

 

  大野 輝之 自然エネルギー財団 常務理事

2013年より現職。カーボンプライシングなど国の気候変動対策の策定に関わる検討会委員を務める。1979年 東京都入庁。都市計画局、政策報道室などを経て、1998年より環境行政に関わる。「ディーゼル車NO作戦」の企画立案、「温室効果ガスの総量削減と排出量取引制度」の導入など、国に先駆ける東京都の環境政策を牽引した。省エネルギーの推進と自然エネルギーの導入を図る数々の施策を産業界の合意を形成して実現、都のエネルギー政策の根幹を作る。2010年から3年間、環境局長を務める。東京大学非常勤講師、イクレイ日本顧問、公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン 理事、東京都参与。2014年、カリフォルニア州からハーゲンシュミット・クリーンエア賞を受賞。著書に 『自治体のエネルギー戦略』、『都市開発を考える』(ともに岩波新書)、『現代アメリカ都市計画』(学芸出版社)など。東京大学経済学部卒。

  山岸 尚之 WWFジャパン 自然保護室 気候エネルギー・海洋水産室長

立命館大学国際関係学部に入学した1997年にCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)が京都で開催されたことがきっかけで気候変動問題をめぐる国際政治に関心を持つようになる。2001年3月に同大学を卒業後、9月より米ボストン大学大学院にて、国際関係論・環境政策の修士プログラムに入学。2003年5月に同修士号を取得。卒業後、WWFジャパンの気候変動担当オフィサーとして、政策提言・キャンペーン活動に携わるほか、国連気候変動会議に毎年参加し、国際的な提言活動を担当。2020年より気候エネルギー・海洋水産室長。

  榎堀 都 CDP Worldwide-Japan アソシエイト・ディレクター

2007年よりCDPの日本での活動に従事し、日本企業のCDP質問書の回答取りまとめやスコアリングを担当してきた。気候変動、水セキュリティ、森林減少などの環境課題に関する情報開示や先進的な取組みを促進するべく、国内でのCDPの活動全般に携わっている。東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了 博士(環境学)。