気候変動イニシアティブ(JCI)は、本年1⽉と4月、企業、自治体など多くの参加メンバー団体の連名で、政府に対し、2030年における再生可能エネルギー目標、温室効果ガス削減目標の引き上げなどを求めるメッセージを公表しました。現在、2030年の温室効果削減⽬標を含む「⽇本のNDC(国が決定する貢献)(案)」、「第6次エネルギー基本計画(案)」などについてのパブリックコメントの募集が、10⽉4⽇または5⽇まで⾏われています(下記参照)。

これらの案を受け、本⽇9⽉24⽇、気候変動イニシアティブ 末吉⽵⼆郎代表は、下記のとおり、日本政府に対し、2030年までの温室効果ガスの半減、2050年の実質排出ゼロの達成を可能にする政策転換を求め、これにふさわしい計画と戦略の策定を求めるコメントを発表しました。

 


気候危機に挑む覚悟を世界に示す野心的な政府計画の策定を

気候変動イニシアティブ代表 末吉竹二郎

政府は、現在、温室効果ガス削減に関するNDC、エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画、パリ協定もとづく成長戦略としての長期戦略のパブリックコメントを行っている。これらの計画や戦略は、気候危機に立ち向かい、1.5℃目標の実現をめざす日本の取組みと姿勢を定め、世界に明らかにする重要な意義を持っている。

気候変動イニシアティブ(JCI)は、本年1月と4月に、多くの企業、自治体、NGOなどメンバー団体の賛同を得て、パリ協定を実現する野心的な2030年目標を定めることを政府に求めるメッセージを公表した。
2030年度の温室効果ガス排出量については、すでに4月22日に、2013年度比で46%削減することをめざし、さらに50%(減)の高みに向けて挑戦を続けることが明らかにされ、パブリックコメントに付されている今回の案でも踏襲されている。
高い削減目標の達成をめざすために、JCIメッセージでは「再生可能エネルギーを2030年に40~50%まで拡大し、石炭火力など化石燃料への依存を減らすこと」を求めた。

エネルギー基本計画改正案は、再生可能エネルギーについて、「最優先の原則のもとで最大限の導入に取り組」むことを明記している。これはJCIメッセージをはじめ、多くの企業・自治体などの声を反映したものとして評価できる。他方、具体的な2030年度の再生可能エネルギー目標は「36~38%程度」としており、これまでの22~24%よりは引き上げたものの、JCIが求めた40~50%までの拡大とは、なお乖離がある。
また石炭火力発電については、19%程度の利用継続が計画されている。先進国には2030年までのフェーズアウトが求められ、英国、フランス、イタリアなどでは、2020年代前半での全廃が予定されている。石炭火力の利用継続は、1.5℃目標の実現をめざす努力に反するものとして国際的な批判を免れない。

こうした点において、現在の「エネルギー基本計画改正案」は、2030年度に温室効果ガス排出量を46%削減し、更には50%削減をめざす政府方針に十分に合致したものにはなっていない。
本年8月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書第1作業部会報告書は、気候危機との戦いが更に猶予のない状態にあることを明確にしている。
気候変動イニシアティブは、日本政府に対し、2030年までの半減、2050年の実質排出ゼロの達成を可能にする政策転換を求め、これにふさわしい計画と戦略の策定を求める。

 

JCI末吉代表コメントPDF


各計画案等への意見募集ページ
「日本のNDC(国が決定する貢献)(案)」に対する意見募集について
「第6次エネルギー基本計画(案)」に対する意見募集について
「地球温暖化対策計画(案)」に対する意見募集について
「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(案)」に対する意見募集について

 

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