2023年4月12日

<公表>JCIメッセージ賛同団体一覧
G7日本開催にあたってのJCIから世界へのメッセージ
再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する

 

再生可能エネルギーの導入加速と実効性の高いカーボンプライシングの早期導入を

気候変動イニシアティブ(JCI)は、本日、「再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する」(別紙1)を公表しました。このメッセージには、303団体(企業225、自治体16、団体・NGO等62)が賛同し、名を連ねています(別紙2)。

今年5月のG7広島サミットに先立ち、4月15・16日に開催されるG7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合は、気候危機とエネルギー危機が同時に進む中で、G7諸国がこの危機にどのように立ち向かうのか、その戦略の大枠を決める重要な会議になります。折から、日本政府は「GX基本方針」を決定し、これに基づくエネルギー政策を進めようとしています。

本メッセージは、こうした重要な機会をとらえ、日本政府に対し、G7が昨年のサミットで合意した「2035年までに電力供給の全て、あるいは大部分を脱炭素化する」目標を実現するため、再生可能エネルギーの導入加速に向けた実効性のある施策の導入、規制改革の実施を求めています。さらに、カーボンプライシング制度をより早期に、より実効性高いものとして導入することを求めています。

多くの大企業や地域を支える中小企業、自治体、消費者団体、宗教団体を含む303団体のメッセージ

気候危機とエネルギー危機が同時に進む中、日本企業、自治体、団体が共に、個々の団体名を明らかにして、実行性のあるカーボンプライシングの早期導入を含む気候変動対策の強化を求めるのは初めてです。

賛同企業の中には、東証プライム上場企業118社を含む、IT、素材、機械、鉄鋼、製薬、通信、運輸、食品、小売、住宅・建築、土木、都市開発、金融・保険など広範な分野で日本を代表する多数の大企業が含まれています。また、積極的に気候変動対策を進める企業グループである日本気候リーダーズ・パートナーシップ、エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議も名を連ねました。

地方自治体では札幌市、世田谷区、神奈川県、横浜市、川崎市、小田原市、浜松市、滋賀県、近江八幡市、京都府、京都市、大阪市、堺市、豊中市、徳島県、松山市の1府3県12市区が賛同しています。さらに、全国で約3017万人の消費者が参加する日本生活協同組合連合会などの消費者団体、創価学会、大学・研究機関、NGO/NPO、若者団体など、まさにJCIメンバーの多様性を表す賛同が集まりました。

広範な企業、自治体、団体が名を連ねた今回のメッセージは、日本の非政府アクターが、二つの危機の克服をめざし、みずから先駆的に排出削減に取り組む決意と、それを支える政策の強化を求める強い意志を集結させたものです。

3月20日に発表されたIPCC第6次統合報告書では、気温上昇を1.5度に抑えるためには、世界の温室効果ガスの排出量を2035年までに2019年比で60%削減することが必要であると示されました。科学が示すこの事実に、世界の最前線で挑むためにも、気候変動イニシアティブは、日本政府に対し、2035年までに電力の大半を再生可能エネルギーで供給すること、そして2030年度排出削減目標を確実に達成し更に高みをめざすために、実効性の高いカーボンプライシングの早期導入を求めます。

 

リリース本文 PDF
別紙1 JCIメッセージ PDF
別紙2 メッセ―ジ賛同団体一覧 PDF
賛同団体からのコメント(50音順)

参考:内閣総理大臣、外務大臣、経済産業大臣、環境大臣あて書簡 PDF

関連記事:4/12 札幌での記者会見開催について


別紙1 JCIメッセージ

■G7日本開催にあたってのJCIから世界へのメッセージ

再生可能エネルギーとカーボンプライシングで二つの危機を打開する

 

世界は今、気候危機とエネルギー危機という二つの危機に直面しています。気候変動イニシアティブに参加する私たち日本の企業、自治体、NGOなど非国家アクターは、再生可能エネルギーの導入加速と実効性の高いカーボンプライシングの早期導入によって、石炭火力など化石燃料への依存を減らし、二つの危機の克服をめざすことを日本政府にもとめ、みずからも率先して行動していきます。

2035年までに電力の大半を再生可能エネルギーで供給する
昨年5月のG7サミットでは、「2035年までに電力供給の全て、または大部分を脱炭素化すること」を各国共通の目標として掲げました。現在の日本のエネルギー基本計画は、2030年に電力の36-38%を再生可能エネルギーで供給することを目標としています。G7の中では4つの国(カナダ、ドイツ、英国、イタリア)が現時点で既に日本の2030年目標を大きく超える再生可能エネルギーを導入しており、2035年には、これら4か国に加え米国でも再生可能エネルギーが電力供給の大半を占めることが予測されています。
私たちは、日本政府に対し、現在の2030年目標の達成にとどまらず、2035年には電力の大半を再生可能エネルギーで供給することが可能になるように、着床式および浮体式の洋上風力発電の開発加速、新築建築物への太陽光発電の設置義務化など、再生可能エネルギーの導入加速に向けた実効性のある施策の導入、規制改革の実施を求めます。
二つの危機が進む中で、高騰する化石燃料から低コスト化する再生可能エネルギーへの転換は一層、合理的な選択となっており、日本でもPPAの活用が急速に進んでいます。私たちは自ら、こうした手法を最大限に活用するなど、追加性があり、持続可能性に配慮した新規の再生可能エネルギーの開発と利用を進めていきます。

実効性のあるカーボンプライシングの早期導入
国際エネルギー機関は、2050年ネットゼロを実現するためには、先進国では2030年に130ドル/トンの炭素価格が必要だとしています。日本政府は「GX実現に向けた基本方針」の中で、カーボンプライシングを導入する方針を示しましたが、炭素賦課金の導入は2028年度以降であり、排出量取引制度は今後10年間は自主的なものにとどまるとされています。また炭素価格の水準はIEAの提言の10分の1程度にとどまると推計されています。
私たちは、日本の2030年度排出削減目標を確実に達成し更に高みをめざすために、また炭素国境調整措置の導入など脱炭素化が世界のビジネス取引のルールとなる中で、日本企業の脱炭素をめざす真摯な取組が国際的にも正当に評価されるように、カーボンプライシング制度をより早期に、より実効性高いものとして導入することを日本政府に求めます。

1.5度目標実現をめざす世界の挑戦の最前線に立つ
私たちは、気候危機の克服をめざす世界の取組で、日本がもっと大きな役割を担うべきであり、それは可能だと考えています。また、気候危機への挑戦を行う中でこそ、日本の持続可能な成長を実現できると確信しています。JCIに集う私たちは、みずから先駆的に排出削減に取り組むとともに、国内外の非国家アクター間の連携を深め、日本と世界の架け橋になっていきます。

 

2023年4月12日 気候変動イニシアティブ(JCI)


別紙2 メッセ―ジ賛同団体一覧

賛同団体⼀覧(50音順)
(計 303団体 うち 企業 225、⾃治体 16、団体・NGO等 62)

企業(計 225)

アース製薬 新菱冷熱工業
RWE Renewables Japan SCREENホールディングス
アイ・グリッド・ソリューションズ スマートエナジー
アイスタイル 住友重機械工業
IDEC 住友ファーマ
アサヒグループホールディングス 住友林業
朝日新聞社 セイコーエプソン
朝日放送グループホールディングス セイコーグループ
アシックス 積水化学工業
アスエク 積水ハウス
アストラゼネカ Zホールディングス
UPDATER ゼネシス
アドバンテスト セブン&アイ・ホールディングス
尼崎信用金庫 泉州電業
アムンディ・ジャパン ソニーグループ
荒川化学工業 ソフトバンクグループ
アンリツ SOMPOホールディングス
iiie 第一生命ホールディングス
E-konzal ダイキン工業
イーズ ダイダン
イースクエア ダイテック
イオン 大東建託
イオンモール 太陽油脂
伊藤ハム米久ホールディングス 大和ハウス・アセットマネジメント
イトーキ 大和ハウスリート
インソース 高砂熱学工業
ウォータースタンド 髙島屋
内海産業 宝塚すみれ発電
ウフル 拓住ホーム
EIZO 竹内庭苑
H.U.グループホールディングス 竹中工務店
エーザイ ダッソー・システムズ
AGC 脱炭素化支援
AC Biode Dutch – Japanese Maritime Desk
エコスタイル 田辺三菱製薬
エコ・プラン 地域計画建築研究所
エコワークス チェンジ・エージェント
SARR 地方グリーンプロジェクト支援研究所
エスペック 中外製薬
エナジー311 ティーガイア
エヌ・ティ・ティ・データ TBM
エネルギー応用技術研究所 DSM
エフピコ 帝人
MS&ADインシュアランスグループホールディングス デジタルグリッド
エンビジョンAESCジャパン テスホールディングス
エンビプロ・ホールディングス TERA Energy
王子ホールディングス 東亜建設工業
大川印刷 東急
オークネット 東急建設
大倉工業 東京応化工業
大崎電気工業 東京製鐵
大林組 東洋インキSCホールディングス
オカムラ トーカドエナジー
沖電気工業 トピー工業
OKYA 中島商会
小田原かなごてファーム ナブテスコ
office 3.11 南海電気鉄道
オフィスTMC ニコン
オムロン 西松建設
カインズ 日軽パネルシステム
花王 日清食品ホールディングス
カゴメ ニッセイアセットマネジメント
梶原鉄工所 日東工業
仮設機材工業 日報ビジネス
カナディアン・ソーラー・ジャパン 日本特殊陶業
カルビー 日本郵船
川崎汽船 日本たばこ産業
かんぽ生命保険 日本プラスト
樹昇 ニューラル
キッコーマン ノーリツ鋼機
協発工業 野村総合研究所
熊谷組 野村不動産投資顧問
グリーナー・スペース・プランニング 博報堂
Green Earth Institute パナソニックホールディングス
グリーンパワー工業 PJP Eye
グリーンピープルズパワー ピコットエナジー
栗田工業 日立製作所
グリッド&ファイナンス・アドバイザーズ ヒューリック
クロスフォー booost technologies
ケイティケイ フォスター電機
Codo Advisory 富士通
光陽社 富士通ゼネラル
コーセー 富士フイルムホールディングス
コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス 古河電気工業
国際航業 ベネッセホールディングス
コニカミノルタ ポーラ・オルビスホールディングス
栄鋼管 前田建設工業
サカタインクス 前田道路
サッポロホールディングス 丸井グループ
山陰合同銀行 三井住友建設
サントリーホールディングス 南相馬メンテナンス
サンメッセ 宮城衛生環境公社
三陽商会 宮崎電力グループ
三洋商事 未来環境エネルギー計画
シーアールイー 未来創造部
CSRデザイン環境投資顧問 明電舎
GF MORESCO
SequencEnergy 八基通商
JTBコミュニケーションデザイン 矢野経済研究所
J.フロントリテイリング 山全
塩野義製薬 ヤマト住建
滋賀銀行 ヤマハ
しずおか未来エネルギー USEN-NEXT HOLDINGS
しずおか焼津信用金庫 ヨロズ
シチズン時計 LIXIL
島津製作所 リクルートホールディングス
シャープ リコー
ジャパンリアルエステイトアセットマネジメント リニューアブル・ジャパン
ジャパン・リニューアブル・エナジー りんかい日産建設
ジャムコ ループ
シュローダー・インベストメント・マネジメント ルネサスエレクトロニクス
上新電機 ワコム
商船三井

 

自治体(計16)

近江八幡市 札幌市
大阪市 滋賀県
小田原市 世田谷区
神奈川県 徳島県
川崎市 豊中市
京都市 浜松市
京都府 松山市
堺市 横浜市

 

団体・NGO等(計62)

アースライフネットワーク 持続可能な森林フォーラム
アーバニスト 湘南・省エネネットワーキング
アクト川崎 消費者市民社会をつくる会
うつくしまNPOネットワーク 生活協同組合コープかごしま
エシカル協会 聖心女子大学グローバル共生研究所
SLSV CES研究所 世界自然保護基金ジャパン
エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議 セブン・ジェネレーションズ
elsa ゼロエミッションを実現する会
大磯エネシフト 全国消費者団体連絡会
大阪いずみ市民生活協同組合 創価学会
大阪YMCA そらべあ基金
小田原箱根商工会議所 太陽エネルギーデザイン研究会
環境エネルギー政策研究所 太陽光発電協会
環境技術研究所 地球温暖化防止全国ネット
環境金融研究機構 地球環境戦略研究機関
環境文明21 地熱情報研究所
環境ベテランズファーム 電気自動車普及協会
気候ネットワーク 徳島地域エネルギー
気象キャスターネットワーク 所沢市民ソーラー
北九環浄研 日本気候リーダーズ・パートナーシップ
Climate Action Network Japan 日本キリバス協会
Climate Youth Japan 日本生活協同組合連合会
グリーンピース・ジャパン 日本風力発電協会
グリーンビルディングジャパン 日本溶剤リサイクル工業会
原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟 農都会議
コープデリ生活協同組合連合会 Peace & Nature
コレクティブ・アクション 福井小水力利用推進協議会
サステナビリティ日本フォーラム 北海道グリーン購入ネットワーク
CDP Worldwide-Japan 北海道グリーンファンド
自然エネルギー財団 北海道再生可能エネルギー振興機構
自然エネルギーネットまつもと 芽吹

 


■賛同団体からのコメント(50音順)

秋元 克広 様 札幌市長
札幌市では、2020年2月にゼロカーボンシティを目指すことを宣言し、2030年までに温室効果ガス排出量を2013年比で59%削減するという、政府の削減目標を超える高い目標を掲げ、徹底した省エネルギー対策や再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいるところです。
G7札幌 気候・エネルギー・環境大臣会合を契機に、環境に対する市民や企業の意識向上を図り、持続可能な社会の実現に向けた取組をより一層加速させてまいります。

呉 文 繍 様 国際航業株式会社 代表取締役会長 兼 執行役員CEO
国際航業は、地球と社会を健全な状態で次世代へ引き継ぐことをミッションと定めました。事業から排出される温室効果ガスをゼロに向けて行動するとともに、自治体や企業へ脱炭素の技術サービスを提供することに資源を集中しています。しかし、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、すべてのステークホルダーが取り組みを加速する必要があります。G7が結束し、公共調達の参加資格にネットゼロ行動を義務化するなど、実効性のある行動に結び付く成果が得られることを期待します。

▶ビデオメッセージ

鈴木 美佳子 様 株式会社リコー ESG戦略部 コーポレート執行役員 ESG・リスクマネジメント担当
リコーは、これまで一貫して科学的知見に基づく野心的な目標を設定してきました。現在は、2030年に電力の再生可能エネルギー比率を50%にし、GHGを63%削減することを目指しています。
最新のIPCC報告では、取り組みの強化とスピードアップが必要になっていることがあらためて私たちに示されました。気候危機の回避に向け、対策の強化はもはや「待ったなし」となっています。この重要な課題に対し、G7がさらなるリーダーシップを発揮することを期待しています。

▶ビデオメッセージ

德成 旨亮 様 株式会社ニコン 取締役 専務執行役員 CFO
気候危機は現代における最大の課題の一つです。これを克服するためには、企業、自治体といったあらゆる非国家アクターと政府が、協働で気候変動対策を進めていく必要があります。例えば再生可能エネルギー導入の加速には、企業側の努力だけでなく実効性のある政策による後押しが不可欠です。
気候危機への挑戦は、日本社会および企業自身の持続可能な成長につながります。ニコンは、これからも他の非国家アクターそして政府とともに脱炭素化に取り組んでいきます。

丸山 和則 様 DSM株式会社 代表取締役社長
早急なエネルギー転換なくして、1.5℃の未来はありえません。DSMは、2030年に向けたScience Based Targetや、2050年あるいはそれ以前のネットゼロ達成といった非財務目標の実現を通じて、1.5℃目標に対する自社の役割を果たそうと努力しています。具体的には、DSMは2016年以降、自社の事業活動からのGHG排出量を絶対値で35%削減し、すでに大きな進歩を示しています。また再生可能電力の購入は、1.5℃目標実現に向けた重要なアクションです。DSMは、2030年までに購入電力の100%を再生可能資源由来とすることをコミットしています。この実現のため、長年にわたり新規・継続投資を続けており、すでにグローバル全体では78%、日本事業も約60%まで再生可能電力への置き換えが進んでいます。一方、1.5℃目標達成のためには、全ての国が規制改革を通じて再生可能エネルギーの導入を加速させることが必要ですし、そのためにG7各国の率先垂範が強く求められていると考えます。
DSMはまた、エネルギー転換のための有効な手段であるカーボンプライシングを強く支持します。DSMは、日本政府に対し、現在の計画よりも前倒しで具体的な成果が得られるようなカーボンプライシング制度を導入するべきだという提言に賛同します。DSMでは、すでに100ユーロ/トンCO2の社内カーボンプライシングを導入して、社内の意思決定の指針を得るために利用しつつ、世界各国のカーボンプライシング制度への準備を進めています。