【1/24】気候変動イニシアティブ(JCI)は、1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求めるメッセージを、下記3つの第7次エネルギー基本計画案、地球温暖化対策計画案、GX2040ビジョン案への意見として提出しました。
現在政府は、第7次エネルギー基本計画、地球温暖化対策計画(2035年温室効果ガス削減目標)、GX2040ビジョンの各案を発表し、2025年1月26日までパブリックコメントを実施しています。
第7次エネルギー基本計画案には2040年度に向けた各エネルギー源の導入目標が含まれ、2040年度の電源構成において再エネは4~5割、火力は3~4割が見込まれています。また、地球温暖化対策計画案では、2035年度に2013年度比で温室効果ガス排出量を60%削減するという目標が掲げられています。
JCIでは2024年7月、1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求めるメッセージを発表し、これまでに236のメンバー団体が賛同しています。同年12月11日、これらの政府案が出される前に、浅尾環境大臣にも手交しました。今回発表された政府案は、このJCIメッセージが求めた1.5度に整合する削減目標や再エネ目標、化石燃料からの脱却からは乖離が見られます。
これらの計画は、日本の非政府アクターが懸命に取り組むエネルギー効率化や再生可能エネルギーの拡大をはじめとする気候変動対策を後押しすべき非常に重要なものであり、パブリックコメントは、非政府アクターがそれを訴える貴重な機会です。
気候変動アクションの本質である気候危機・エネルギー危機の克服、ビジネスのリスク最小化・機会獲得、日本の国際競争力維持を実現する計画にするために、皆さんもそれぞれの視点で、ぜひ積極的に意見を投稿しませんか?
パブリックコメントの実施詳細、意見提出にあたっての参考情報は、下記をご覧ください。
■各案のパブリックコメント実施情報
◇第7次エネルギー基本計画案:2040年度における電源構成の見通しを含む、エネルギー政策の方針(受付締切:2025年1月26日23時59分)
◇地球温暖化対策計画案:2035年度・2040年度の温室効果ガス削減目標を含み、次期NDCとしてパリ協定にも提出される(受付締切:2025年1月27日0時0分)
◇GX2040ビジョン案:2040年に向けたGXの戦略をとりまとめたもので、令和5年7月に策定した「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」の改訂版(受付締切:2025年1月26日23時59分)
■参考情報
◇関連する提言や声明
・日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP) - GHG排出削減加速と再エネ比率引き上げを求める提言
2024年11月14日、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)は第2次石破内閣の発足を受け、「気候危機を食い止め、日本の経済成長を実現するため、GHG排出削減加速と再エネ比率引き上げを求める提言」を発表しました。提言では、日本経済が長期の横ばいから脱却し、確かな成長を実現するため、「国が決定する貢献(NDC)」及び第7次エネルギー基本計画策定に関して、2035年GHG排出量75%以上削減(2013年度比)、2035年の再エネ電源比率60%以上、またエネルギー需要家の参画機会を増やす等、政策の「決め方」の改善を求めています。
・RE100 - 日本のエネルギー政策に対する提言
2024年6月25日、RE100は「RE100 日本のエネルギー政策に対する提言」を公表しました。RE100を掲げる日本企業は米国に次ぐ世界第2位の87社ですが、国内の再エネ電力が不足し、目標達成に向けて十分に調達できないとして、第7次エネルギー基本計画において再エネの発電容量を遅くとも2035年までに3倍にする目標を設定することを提言しています。また、この目標の達成のため、電力価格の透明化と公正化など、6つの施策を求めています。
・Clean Energy Buyers Association(CEBA)- 問題提起:エネルギーの需要家が日本で望むこと
2024年11月21日、エネルギーの需要家とパートナーで構成する事業者団体のCEBA(Clean Energy Buyers Association)は「問題提起:エネルギーの需要家が日本で望むこと」を公表しました。CEBAのメンバーおよび日本における1000社以上のバリューチェーンのパートナーにとって最大の課題は、コスト効果の高い再生可能エネルギーが限られていることだと指摘し、日本政府に対し、GX2.0および第7次エネルギー基本計画の策定において、2035年までにコスト効果の高い再生可能エネルギーの活用を拡大し、導入スピードを加速させ、今後に向けてカーボンフリー技術を進展させるための具体的な施策を求めています。
・SEMI - 日本における低炭素エネルギー供給拡大に向けた提言
2024年9月3日、半導体製造における産業発展を目指す国際団体SEMIは、分析報告書「日本における低炭素電力の拡大と調達の課題と対応策」を発表しました。報告書では、日本における低炭素電力の調達を加速させるため、再生可能エネルギーの導入と調達の障壁に対処する必要があるとして、太陽光に適した土地のアクセス確保や洋上風力開発の拡大・加速、再エネ利用促進区域の設定加速など、5つの分野における取り組みを提言しています。
(リンク先はプレスリリース。レポートは別途要ダウンロード)
◇JCI事務局団体による声明
・自然エネルギー財団
エネルギー基本計画案に関するコメント
自然エネルギーによるエネルギー転換シナリオ(第1版改訂版)
・WWFジャパン
次期NDC案に対する声明
エネルギー基本計画案に対する声明
脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ
◇気候ネットワークによるパブリックコメント作成のワークショップ(CAN-Japanホームページ内)