2021年10月30日、気候変動イニシアティブ(JCI)を含む9か国の非政府アクター同盟が参加する国際連盟「Alliances for Climate Action (ACA)」が、下記のとおり共同ステートメントを発表しました。G20の7カ国(アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、日本、メキシコ、南アフリカ、米国)とベトナム、そしてCOP26で新たに発足するチリの同盟が参加したこの声明は、イタリア・ローマで開催されるG20とスコットランド・グラスゴーで開催されるCOP26に参加する各国のリーダーに向けて、気候危機への対応に向けた決意の表明を呼びかけています。また、世界の非政府アクターに向けて、人類にとって重要なこの10年間に、これまでにないペースと規模でコミットメントからアクションへと移行する努力に参加することを呼びかけています。

このステートメントの発表に際し、末吉JCI代表は、「世界が一丸となって1.5℃目標を確実に達成するためには、日本政府は、2030年までに排出量を半減させ、遅くとも2050年までにはネットゼロに到達させる、より野心的で具体的かつ迅速な行動が必要です。私たちは、一緒に、そこにたどり着くことができると信じています。この目標を達成するために、JCIは、すべてのメンバーと力を合わせ、メンバー自らの取り組みを加速させるだけでなく、あらゆる機関からの貢献によって日本社会をより早く脱炭素化させる政策条件について日本政府に働きかけを続けていきます。さらに、JCIメンバーと世界中のあらゆる非政府アクターとの協力を推進し、気候危機に対処するための最大の望みとして、社会全体でのアプローチを支持していきます。」と述べました。

5か国語の共同ステートメントPDF (英語、日本語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語)
ACAによるプレスリリースPDF (英語)
共同ステートメントのページ (英語)
Alliances for Climate Action (ACA)ウェブサイト (英語)


Alliances for Climate Actionのグローバルな行動要請

私たちはグローバルな深い変革の真っただ中にいます。私たちが知っている人間社会、つまり私たちが家や産業に電力を供給し、動き回り、食料を生産するその方法は、私たちを支える生物物理学的システムの崩壊を避けつつ、世界中のすべての人に尊厳のある生活の機会を与えるためにシフトする必要があります。

最新の科学の報告書は、私たちが人類にとって極めて重要な瞬間にあることを確証しています。気候危機は私たちに迫っており、自然への深まる危機に見られるように、新型コロナウイルスが引き起こしたパンデミックによってさらに悪化しています。カナダ西部と米国からオーストラリアにかけての火災の拡大、中国からヨーロッパにかけての洪水、南アメリカからアフリカにかけての干ばつなど、私たちが行動しなかった場合に何が起こるかを予感させるものが、私たちの周りのいたるところにあります。

私たちはもはや傍観者にとどまることはできません。今こそ行動を起こす時であり、私たちにはそれを実現するためのツールがあるのです。

この次の10年、2021年から2030年は、世界の気温上昇が産業革命前のレベルと比較して1.5°Cを超えないようにし、気候変動の最悪の影響を回避するというパリ協定の目標を達成できるかどうかにかかわる決定的なものです。

  • この10年で、私たちは、人間の幸福や健康を石炭、石油、ガス、森林、草地の燃焼から切り離し、再生可能エネルギー、クリーンな輸送、再生農業といった持続可能な形にその依存をシフトし、地球上の生命を維持する自然生態系に再投資しなければなりません。
  • この10年で、私たちは、世界の温室効果ガス排出量を半分に削減し、気候への備えに投資し、2050年までにネットゼロで回復力のある社会への不可逆的な移行を導かなければなりません。
  • この10年で、私たちはまた、この移行を実現するために、誰もが役割をもち、そして炭素集約型産業から移行し、新型コロナウイルスによるパンデミックからの再建に目を向けつつも誰も取り残さないという十分な認識とともに、新しい社会契約を構築しなければなりません。

各国政府は、長期的なシグナル、政策、投資を通じて果たすべき重要な役割を担っています。私たち、すなわち地方や部族政府、民間部門、学術、信仰、文化機関、市民社会組織、その他多くのアクターもまた私たちの目標を達成するために不可欠です。これまでの私たちの取り組みは大きな意味のあるものです。世界中のすべての地方および非政府主体のこれまでのコミットメントを合わせれば、私たちは世界の気温上昇を2℃に抑える経路の範囲に近づく助けとなるでしょう。しかし科学は、私たちにはそれ以上が必要だと教えてくれます。

世界の気温上昇が1.5°Cを超えないようにするためには、世界中で前例のない動員が必要です。私たちには、社会全体のアプローチが必要です。すなわち、気候危機を解決しながら、各国が開発ニーズに取り組み、新型コロナウイルスによるパンデミックから回復するのをお互いに助け合うよう、各国政府、地方および非政府機関、市民のそれぞれが良い方向に向かうための力となる挑戦に参加するのです。誰もが果たすべき役割があり、私たち一人一人がステップアップする必要があります。

各国政府がG20会合のためにイタリア・ローマに、そして今月末に開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回締約国会議(COP26)のためにスコットランドのグラスゴーに集まる準備をしているこの時に、私たちは、G20および他国リーダーたちに、次の決意を示すよう呼びかけます。気候危機に対処するために:

  • 2030年までに世界の排出量を2010年のレベルから50%削減し、2050年までにはネットゼロ排出に達するという目標に沿って、国の気候変動へコミットメントを強化すること。私たちは各国政府にそのような誓約を持ってCOP26臨むこと、またもしそれまでにそのレベルに合わせることができないならば、2023年のUNFCCCのグローバルストックテイク(GST)に間に合うように、2030年のNDCと2050年長期戦略を再検討して強化することを強く求めます。
  • 国の部門別政策と新型コロナウイルスからの回復支出を含む公共投資を、これらの同じ目標に合わせること。私たちは各国政府に対し、ネットゼロ経路に沿い、公正な移行の文脈の中で、石炭を段階的に廃止して再生可能エネルギーの供給を拡大し、輸送、建築、その他のセクター全体での使用を電化し、食料安全保障を確保しながら炭素を隔離するための作業用地の能力を強化し、そして各国の自然生態系を保護するため、実行可能なロードマップと支援的な規制インセンティブを展開するよう呼びかけます。また、G20各国政府に対し、2020年までに年間1,000億ドルの国際気候資金を提供するという約束の履行や、2020年以降の期間におけるその強化などを通じて、開発途上国における移行の国内プロセスを支援するよう呼びかけます。
  • あなたの国の地方および非政府機関の力を生かすこと。私たちは、各国政府が、私たち、すなわち地方政府、民間部門、学界、市民社会を、永続的なガバナンスメカニズムのもとで、目標や部門別政策の設計に関与させることを求めます。私たちは、各国のコミットメントの実施を加速するため、各国政府が私たちの貢献を認識し、私たちの取り組みを各国政府の計画に統合させるよう呼びかけます。私たちは、各国政府に対し、私たち機関がさらに強力な気候変動対策を講じることを可能にする前向きな財政的および規制上のインセンティブを創り、それによって国のコミットメントを支援する前向きな「野心のループ」を促進するよう求めます。最後に、私たちは、世界気候行動のためのマラケシュパートナーシップ(MPGCA)の下に改善された取組みのためのハイレベルチャンピオン(HLC)計画の実施、そしてグローバルストックテイク(GST)の一部としての私たちのインプットを承認することにより、パリ協定のより広い枠組みの中で私たちの役割を支援するよう各国政府に呼びかけます。

また、私たちは、私たちの仲間である地方政府、企業、投資家、学術、文化、信仰機関、市民社会組織、その他の組織や機関に対し、私たちの役割を果たすよう次のことを呼びかけます。それぞれの国の気候目標を達成し、超えるために:

  • 2030年までに世界の排出量を2010年のレベルから50%削減し、2050年までにネットゼロ排出に達するという目標に貢献するための行動を起こすこと。国連によるグローバルキャンペーンRace to Zeroに沿い、私たちは、地方および非政府主体に対し、各機関の二酸化炭素排出量と気候リスクに対処するための対策をただちに実施し、上記のゴールに一致するよう目標を改善し、私たちのコミットメントと進捗状況を公表することを求めます。
  • 2030年までの世界の排出量の50%削減と、2050年までのネットゼロに見合う国の目標と部門別政策を公に支援すること。私たちは、地方および非政府主体に対し、各国政府と関わり、私たちの貢献を提供し、学びと経験を共有し、国のネットゼロへの移行を加速するために政策をどのように改善できるかについての提言を提供することを呼びかけます。
  • 私たちの国々のネットゼロへの移行を加速するため、他の地方および非政府機関と力を合わせること。私たちは、地方および非政府主体に対し、目標を調整し、実施のボトルネックに共同で取り組み、政策提言を調整し、より野心的な国の気候変動対策に対する国民の意識と支援の構築に貢献することにより、各国の仲間と協力することを求めます。

Alliances for Climate Actionを通じて、6000以上の都市、州、地域、部族の政府、企業、投資家、信仰、文化的および学術的機関、市民社会組織が、各国の1.5℃とネットゼロに沿った移行を加速するために、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、チリ、日本、メキシコ、南アフリカ、米国、ベトナムを含むそれぞれの国の同盟に集まっています。私たちは今行動しています。

G20とUNFCCC COP26は、世界が協力して2050年までにネットゼロで回復力のある社会への移行を推進し、2030年までに排出削減と気候変動への備えを提供してこの移行を止められないようにするという間違いのないメッセージを提供する必要があります。

私たちは、世界中の各国内で推進される移行の実現をサポートする最高の利用可能な科学的知見に基づいて、各国政府やその他の地方および非政府機関と共に取り組む準備ができています。私たちに参加しませんか。