気候変動イニシアティブ(JCI)は、下記メッセージへの賛同を、企業、⾃治体、団体・NGO/NPOなどあらゆる⾮政府アクターから募集します<2024年6月30日(日)締め切り>

今年は、日本の中長期的なエネルギー政策の指針であるエネルギー基本計画の見直しや2035年温室効果ガス削減目標(NDC)の策定が予定され、これからの日本の気候変動対策の方向性を左右する極めて重要な一年です。

昨年のCOP28では、化石燃料からの脱却が合意文書に明記され、今年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、石炭火力発電の廃止年限について2030年代前半と合意されました。国際社会が脱炭素化への動きを加速させる中、これから決まる第7次エネルギー基本計画や次期NDCは、人々の健康や安全はもちろん、日本の国際競争力にも大きな影響を与えます。

こうした重要な機をとらえ、気候変動イニシアティブ(JCI)では、次期NDCが1.5度目標と整合する野心的なレベルとなり、第7次エネルギー基本計画がそれを実現するものになることを日本政府に求めるメッセージを発信します。

賛同団体名は7月上旬に本ウェブサイトに公表・プレスリリースするとともに、政府への提出などを予定しています。

一つでも多くの賛同をお待ちしています!

賛同方法はこちら
メッセージ参考資料を公開しました (6/11)
NEW応援メッセージはこちら (6/27)
NEW参考情報 RE100提言 (6/27)


JCIからのメッセージ

1.5度目標と整合する野心的な2035年目標を日本政府に求める

今年を日本のエネルギー政策転換の年に
今年は、日本の近未来を左右する極めて重要な年です。なぜなら、第7次エネルギー基本計画と次期温室効果ガス削減目標(NDC)の策定が見込まれるからです。世界が約束した1.5度目標の実現に向け、国際社会が脱炭素化への競争を激化させる中、日本が掲げる気候変動政策とエネルギー需給のあり方は、人々の健康や安全に強く影響することはもちろん、日本の産業や経済の未来、ひいては国際社会における競争力や立ち位置を方向付けます。
こうした状況のもと、気候変動イニシアティブ(JCI)に参加する日本の非政府アクターは、日本政府が次のことを目指し、今年を日本のエネルギー政策の転換点とすることを求めます。

2035年GHGs削減66%以上のNDCと、それを実現する第7次エネルギー基本計画を
地球沸騰化とも言われる深刻な状況下、国際社会は1.5度目標の実現に向けた取り組みを加速しています。COP28では、2030年までに世界の再生可能エネルギー設備容量を3倍、エネルギー効率改善率を2倍にすることが約束され、今年2月、欧州委員会は2040年までに温室効果ガス(GHGs)を1990年比で90%削減することを勧告しました。
こうした中、日本の次期NDCと第7次エネルギー基本計画が1.5度目標に整合するものでなければ、日本は持続可能な成長を続け、国際競争力を発揮していくことはおろか、日本の産業界はバリューチェーンから外され、さらにその基盤となる人々の健康や安全、雇用を守ることすらできなくなることが強く懸念されます。
このような危機感から、私たちは日本政府に対し、次期NDCを少なくとも気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が示した2035年までに世界全体でのGHGs削減2019年比60%に相当する2013年比66%以上にすることを求めます。また、第7次エネルギー基本計画が、エネルギーの需要側や次世代を含む開かれた場で、科学的知見に裏付けられた幅広いレベルでの議論を経て、NDCと一体的に策定されることを強く求めます。

今こそ、エネルギー効率改善と再生可能エネルギー導入加速で、化石燃料からの早期脱却を
日本が2035年までにGHGsを2013年比66%以上削減するには、日本もG7のメンバーとして約束した2035 年までに電⼒部⾨の全て、または⼤部分の脱炭素化という国際公約の達成が欠かせません。そのためには、第7次エネルギー基本計画では、2035年に向けた石炭火力廃止の明確化と、それを実現するエネルギー効率改善と再生可能エネルギー導入の最大化が不可欠です。
また、日本はCOP28で化石燃料からの脱却に向けた取り組みを加速することに合意し、加えて、今年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、石炭火力の廃止年限について2030年代前半とすることにも合意しています。 したがって、2035年までの石炭火力廃止と、2050年に向けたその他の化石燃料の可及的速やかな脱却は、日本が果たすべき国際公約であり、本提言の論拠となるものです。
様々な科学的根拠に基づく試算は、日本には再生可能エネルギー設備容量3倍を実現するに十分なポテンシャルがあり、2035年には電力における再生可能エネルギー割合を65-80%にすることが可能だと示しています。
これらの国際公約を着実に果たすために、すでに利用可能な技術を駆使した建物や製品開発などにおけるエネルギー効率の究極の改善と、日本のポテンシャルを最大限活かした太陽光や風力を中心とする再生可能エネルギー導入の加速化に向けた、早急な基盤づくりを日本政府に求めます。

脱炭素化を目指す世界の最前線に日本から参加する
私たちは、日本が持続可能な成長をしながら脱炭素化を実現するには、多様なステークホルダーが知見や経験を共有し、力を合わせることが必要だと考えています。JCIは、国内外の非政府アクターや政府との協働を深め、1.5度目標の実現に貢献していきます。


メッセージPDF


補足:今年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合で合意された2030年代前半の石炭火力の廃止について

 合意の中ではunabated(排出削減対策のない)石炭火力発電が対象ですが、IPCC第6次評価報告書では、排出削減対策済み(abated)となるには90%程度の脱炭素化が基準であると記載されています。
現在、日本政府は、排出削減対策が取られているものとしてアンモニア混焼や高効率石炭(超々臨界圧(USC))などを含めていますが、これらの手法による削減は限定的(20%程度)で、2035年までにIPCCの定義するabatedの域(90%程度)に達することは計画されていません。
 今回のJCIメッセージでは、IPCCの定義する90%程度の削減対策のとられていない石炭火力の2035年に向けた廃止を求めています。

あわせて参考資料10ページもご参考ください。


賛同方法

①気候変動イニシアティブ(JCI)の参加団体の場合
(JCIに未参加の場合は、②におすすみください)

下記フォームに必要事項をご記入の上、送信してください。
賛同フォーム

賛同フォームにアクセスできない場合は、メッセージに賛同する旨を下記項目とともに、register@japanclimate.orgまでメールにてお送りください。事務局が代理でフォームに入力いたします。

メール件名:賛同します(団体名)
記載項目:
– 参加団体名(日本語)
– ご担当者情報
・氏名
・部署名
・メールアドレス
・電話番号
– ご所属部署電話番号(ご担当者と連絡が取れない場合に備え、ご記入をお願いいたします。ご担当者電話番号と同じ場合は記入不要です。)

②気候変動イニシアティブ(JCI)に未参加の場合

下記フォームより、まずJCI参加をお申込みください。
JCI事務局から参加承認のお知らせ後、①の賛同フォームよりご賛同をお願いします。
JCI参加フォームはこちら

※なお、JCIへの参加やメッセージへの賛同に関し、費用のご負担はありません。

■賛同募集期間
2024年5月23日(木)~2024年6月30日(日)

■参考資料  (6/11)
メッセージ参考資料第1版(2024年6月11日作成)

■関連ウェビナーの開催
本メッセージへの賛同募集に関連し、2024年6⽉5日(水)に、1.5度目標を実現するエネルギーシナリオと日本のあるべきエネルギー政策をテーマとしたウェビナーを開催しました。資料と動画を公開しています。ぜひご覧ください。
JCIウェビナー|日本のエネルギー政策はどうあるべきか:1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは

■応援メッセージ NEW(6/27)

東京大学未来ビジョン研究センター教授 江守正多

現在、我々は、過去10万年で一番高温な地球の上で生きています。
昨年6月からの12ヵ月間で平均した世界平均気温は、産業革命前を基準に既に1.5度上昇を超えています。これは一時的な上振れですが、このままではあと10年程度のうちに平均的にも1.5度上昇に達してしまいます。まず、この切迫感を共有したいです。
JCIのメッセージが参照している1.5度目標に整合するIPCCの削減ペースは世界全体のものですが、公平性の観点から、先進国である日本はこれよりももっと早いペースで削減すべきです。それを考慮すると、日本の「2035年に2013年比66%削減」は1.5度目標との整合性から見て、本当は「甘い」目標であることを認識する必要があるでしょう。
社会の大きな変化が急激に、しかも公正に起きるためには、社会の様々なレベルで関係者の利害調整が行われるだけでなく、一見すると利害対立にみえる状況をwin-winに転換するような新しい発想の議論と取り組みが必要と思います。
高い目標を掲げることで、そのような変化が一気に加速することを願います。

Powering Past Coal Alliance事務局長 ジュリア・スコルプスカ

1.5度の達成を可能にするには、先進国は2030年までに排出削減のない石炭火力発電を段階的に廃止する必要があります。2030年代前半に石炭火力発電を段階的に廃止するというG7の公約は、前向きな第一歩です。

日本にとって、石炭からクリーンエネルギーへの転換を加速することは、長期的な繁栄と安全を推進するチャンスであり、地域経済の力を活用し、世界のエネルギー転換のリーダーとしての日本の地位を高める方法です。日本が石炭からクリーンエネルギーへの転換において、独自の課題と機会に直面していることを認識し、Powering Past Coal Allianceは、G7の他の国々を含む180を超える政府、自治体、企業メンバーと協力してきた経験を基に、日本とその非政府アクターと協働していきたいと考えています。

※PPCA(Powering Past Coal Alliance:脱石炭国際連盟):英国政府とカナダ政府が主導し、日本を除くG7の6カ国など、世界60カ国を含む182の国や自治体、企業・組織が参加する国際的なイニシアティブ。

■参考:過去に公開したJCIメッセージ

■参考情報:RE100 日本のエネルギー政策に対する提言 NEW(6/27)

6月25日、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)が地域パートナーとして支援しているRE100より「RE100 日本のエネルギー政策に対する提言」が公表されました。RE100を掲げる日本企業は米国に次ぐ世界第2位の87社ですが、国内の再エネ電力が不足し、目標達成に向けて十分に調達できないとして、第7次エネルギー基本計画において再エネの発電容量を遅くとも2035年までに3倍にする目標を設定することを提言しています。また、この目標の達成のため、電力価格の透明化と公正化など、6つの施策を求めています。

→提言の詳細はこちら