今年は、日本の中長期的なエネルギー政策の指針であるエネルギー基本計画の見直しや2035年温室効果ガス削減目標(NDC)の策定が予定され、これからの日本の気候変動対策の方向性を左右する極めて重要な一年です。

昨年のCOP28では、化石燃料からの脱却が合意文書に明記され、今年4月のG7気候・エネルギー・環境大臣会合では、石炭火力発電の廃止年限について2030年代前半と合意されました。国際社会が脱炭素化への動きを加速させる中、これから決まる第7次エネルギー基本計画や次期NDCは、人々の健康や安全はもちろん、日本の国際競争力にも大きな影響を与えます。

こうした重要な機をとらえ、気候変動イニシアティブ(JCI)では、第7次エネルギー基本計画や次期NDCが、1.5度目標と整合する野心的なレベルになることを日本政府に求めるメッセージへの非政府アクターからの賛同を募集しています。

今回のウェビナーでは、1.5度目標を実現するエネルギーシナリオを複数の研究機関から紹介いただき、COP28で合意した再生可能エネルギー設備容量3倍化、化石燃料からの脱却を日本でどのように実現できるのかを議論しました。また、日本と海外のエネルギー政策アドボカシーの比較と声を高めることの重要性について解説いただき、企業や自治体、大学、NGOなど日本の非政府アクターが、共に声を上げることの意義を考えました。

■JCIウェビナー「日本のエネルギー政策はどうあるべきか:1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは」

◇日時:2024年6月5日(水)15:00-17:00
◇主催:気候変動イニシアティブ(JCI)
◇開催方法:オンライン(Zoom ウェビナー)
◇参加費無料・事前登録制

◇プログラム(敬称略)

1. 開会あいさつ・JCIメッセージ賛同の呼びかけ
気候変動イニシアティブ 共同代表 末吉竹二郎

2. 解説
(1) 1.5度目標を実現するエネルギーシナリオとは
① IGES 1.5℃ロードマップ 資料
田村 堅太郎 IGES気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター
② 自然エネルギー財団 2035年エネルギーシナリオ 資料
高瀬 香絵 自然エネルギー財団 シニアコーディネーター
③ WWFジャパン 脱炭素社会に向けた2050年ゼロシナリオ 2024年版 資料
小西 雅子 WWFジャパン 専門ディレクター(環境・エネルギー)

(2) 日本と海外のエネルギー政策アドボカシーのギャップ、声を高める事の重要性 資料
長嶋 モニカ InfluenceMap 東アジア・ディレクター

3. 議論・質疑応答

4. 閉会あいさつ
気候変動イニシアティブ 共同代表 加藤 茂夫

進行:平神 友美 自然エネルギー財団 連携コーディネーター


【賛同募集中!6/30(日)締切】2035年66%以上のGHG削減目標を日本に!


登壇者プロフィール(随時更新。プログラム順)

 

末吉 竹二郎 気候変動イニシアティブ共同代表

東京大学を卒業後、1967年に三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)に入行。1998年まで勤務した。 日興アセットマネジメントに勤務中、UNEP金融イニシアチブの運営委員メンバーに任命された。現在、アジア太平洋地区の特別顧問としてUNEP金融イニシアチブの活動を支援する傍ら政府や地方自治体の審議会委員などを務める。現在、公益財団法人 自然エネルギー財団 代表理事 副理事長、 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン 会長。この他、セミナーや講演会、大学での授業などを通じて環境問題や社会的責任(CSR)、社会的責任 投資(SRI)についての講演等を行う。
主な著書に『ビジネスに役立つ!末吉竹二郎の地球温暖化講義』(東洋経済新聞社)、『有害連鎖』(幻冬舎)、『最新CSR事情』(北星堂書店)、『グリーン経済最前線』(岩波新書、共著)がある。

田村 堅太郎 IGES気候変動とエネルギー領域 プログラムディレクター

横浜国立大学講師を経て、2003年よりIGES勤務。研究テーマは国際気候変動枠組みの制度設計および主要国の気候・エネルギー政策決定プロセス。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス博士課程修了。博士(国際関係学)。

高瀬 香絵  自然エネルギー財団 シニアコーディネーター

2023年より現職。慶應義塾大学総合政策学部(学士)、政策・メディア研究科(修士)修了後、日本エネルギー経済研究所にてエネルギー統計、長期エネルギー需給見通し、石油精製モデル、都道府県エネルギー需給モデル、世界エネルギーモデル等を担当。ノードハウス著「地球温暖化の経済学」等を訳し、DICEモデルを用いた分析を実施。地球環境産業技術研究機構 (RITE)を経て、テコンドー専念のため研究を中断し、韓国龍仁(ヨンイン)大学に留学。引退後、東京大学新領域創成科学研究科にて応用一般均衡モデルを用いた研究にて博士(環境学)を取得、科学技術振興機構低炭素社会戦略センターにて、シナリオ分析や「電気代そのまま払い」社会実装等を実施。2015年に国際NGO CDPジャパンに参画し、企業・金融機関の目標設定(SBT)、再エネ調達(RE100)、TCFD情報開示、低炭素移行計画等のエンゲージメントを実施。

小西 雅子
WWFジャパン 専門ディレクター(環境・エネルギー)
昭和女子大学特命教授(2017年~)、京都大学大学院特任教授(2022年~)兼務。
中部日本放送アナウンサーなどを経て、2005年に国際NGOのWWFジャパンへ。専門は国連における気候変動国際交渉及び環境・エネルギー政策。2002年国際気象フェスティバル「気象キャスターグランプリ」受賞。環境省中央環境審議会委員。環境省カーボンプライシングの活用に関する小委員会委員。近著『気候変動政策をメディア議題に―国際NGOによる広報の戦略』(ミネルヴァ書房2022)、『地球温暖化を解決したい―エネルギーをどう選ぶ?』(岩波ジュニアスタートブックス2021)など。博士(公共政策学・法政大)。米ハーバード大修士課程修了。気象予報士。
  長嶋 モニカ InfluenceMap 東アジア・ディレクター

独立系気候シンクタンクInfluenceMapの東京オフィス及び東アジア地域に関する調査やステークホルダーエンゲージメントを担当。2020年7月より現職。前職は(一財)日本エネルギー経済研究所にてLNGや水素政策に関する研究員。慶応義塾大学環境情報学部卒、パリ政治学院環境エネルギー政策修士卒、北京大学国際関係学修士卒。(一般)Stand With Ukraine Japan共同設立者・代表理事。

加藤 茂夫 気候変動イニシアティブ 共同代表

株式会社リコーで欧州事業、本社統括に従事したのち、2015年からサステナビリティ担当役員として、脱炭素宣言、日本企業として初のRE100参画を実現。 事業活動とSDGsを同軸化するESG経営への変革をリード。その後、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)の共同代表、 World Environment Center(WEC、本部米国)やグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の理事として、気候変動問題を中心に企業・産業界の社会課題解決への貢献を牽引。外務省の「気候変動に関する有識者会合」のメンバーに加わる。2018年7月、気候変動イニシアティブ(JCI)設立に参画。

  平神 友美 自然エネルギー財団 連携コーディネーター

2023年より現職。住友商事において、国内の鉄鋼メーカーと海外のエネルギー企業との間で、油井管のトレード業務に従事。部内のCO2排出量の測定やESG関連業務に携わる。
自然エネルギー財団では、気候変動イニシアティブ(JCI)の事務局として、自治体や企業など非政府アクターの気候変動対策・連携に関する業務を担当。